色丹島の水産加工場再建めぐる職権乱用事件 元サハリン州副知事無罪確定 最高裁が上告棄却

 今般、ロシア最高裁が、サハリン州元水産担当副知事イーゴリ・ビストロフ(Игоря Быстров)にかかる職権乱用事件に関する上告を棄却し、無罪が確定した。ビストロフ事件の第2審は、去る2022年6月29日から開始され、サハリン州裁判所は第1審の結果を覆し無罪とする判決を下していた。第2審判決は、第1審が犯罪の事実を立証できていないと指摘した。2022年1月、ユジノサハリンスク市裁判所での第1審においてビストロフは禁固3年の有罪判決を受け、これを不服として控訴していた。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2023/11/15)

 ビストロフは、2019年5月、サンクトペテルブルグで逮捕された。刑事起訴された背景に、色丹島の漁業コンビナート”アストロブノイ”の漁獲割当の取扱い問題があった。破たん状態にあった色丹島の漁業コンビナート”アストロブノイ“を再建するための任務において、法的権限を越えた(刑法286条:重大な結果の原因となる公権力の超過)疑いがかけられた。ビストロフは、経営破たんとなった”アストロブノイ“の創業者からの漁獲割当の返還に関する過程で、先方に不当な要求を行い、この創業者に不利な条件での取引を行わせたとされた。

 2016年4月14日、大統領プーチンと国民の直接対話において、“アストロブノイ”の給料未払問題が明らかになった。これを受けプーチンは速やかに問題の解決を命令、2016年9月には“アストロブノイ”の経営危機脱却のためのスキームができ、この覚書には当時のサハリン州知事コジェミャコ、投資家アレクサンドル・カン、そしてロシア漁業庁長官シェスタコフが署名している。

 なお、ビストロフは、1年10ケ月の間、勾留され、6ケ月半の間、自宅軟禁された経緯があり、損害賠償手続きの権利にかかる説明を受けた。

 

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