14日に行われたプーチン大統領の国民対話と記者会見について、南クリル地区(国後島、色丹島、歯舞群島)の住民がコメントした。(Kurilnews.ru 2023/12/15)
アレクセイ・ゴロザンキン氏(「TsFKPViT「Fregat」代表)
「記者会見や直接対話の中で、私は特別軍事作戦に特に注意を払った。大統領は動員の第2波は必要ないと述べた。部分的な動員の結果、30万人が召集された。国家元首は戦闘地域での彼らの行動を高く評価し、14人がロシアの英雄となった。同時に、祖国を守るために軍に志願する人々が定期的に登録入隊事務所に来ている。サハリン州では州出身兵を支援するためのプロジェクトが立ち上げられた」
ビクトリア・ソジノヴァ氏(南クリル中央図書館長)
「プーチン大統領は極東の問題に関する質問に答えた。住民が懸念していた「定額」運賃での極東連邦管区地域への航空便と交通アクセスの維持が含まれていた。大統領は航空運賃割引プログラムを2024年まで延長すると発表した。サハリン州では「定額」運賃が州内だけでなく、極東の都市への航空便にも適用されることにも留意したいと思う」
アナスタシア・ロマネンコ氏(南クリル地区行政府の教育、文化、スポーツ部門責任者)
「プーチン大統領は金融経済システムの安定性について語った。国家元首によると、ロシアには自信を持って前進するのに十分な力があるという。特に、年末までにGDP成長率は3.5%になると予想されており、間もなくロシア人の実質賃金は約8%増加する。さらに、この国は失業との戦いにおいて歴史的な水準を達成し、初めて 2.9 パーセントに低下した。サハリン州では2021年以降、石油・ガス部門、産業、観光、医療への投資が増加し、現在、私たちの州は国家投資魅力度ランキングで 4 位にランクされている。2020年は43位だった」
タチアナ・パヴリュケビッチ氏(国後島・南クリル中等学校長)
「プーチン大統領の記者会見では、卵と家禽肉の価格高騰について多くの苦情が寄せられた。大統領は、輸入量の不足やこの種の製品に対する国内需要の大幅な増加など、価格が急騰した多くの理由を説明し、状況は近い将来に安定すると断言した。サハリン州では状況を改善するためにオストロヴナヤ養鶏場に新たな鶏舎が設置された。これにより、新年までに1日あたり2万個増産される予定だ」
ウラジスラフ・ヴェレシュチュク氏(南クリルRDK代表)
「国家元首は、防衛産業への多額の支出にもかかわらず、政府は国民に対する義務を履行しており、今後も履行し続けると指摘した。南クリル地区では、老朽化し荒廃した住宅からの住民の再定住が加速しており、社会施設の建設や公共インフラの開発が進められている。 同時に、サハリンとクリル諸島は、特別軍事作戦の参加者に多大な支援を提供している。 国後島と色丹島の住民は兵士たちのために定期的に人道援助物資を集めており、軍人家族への支援も継続している」
プーチン氏、国民に内政安定を強調 直接対話で言及
(日本経済新聞2023/12/15)
ロシアのプーチン大統領は14日、首都モスクワで国民との直接対話と大規模な記者会見を4時間超にわたって実施した。2024年の次期大統領選への出馬を表明した直後の会見で、国民向けに内政の安定を強調する場面が目立った。
プーチン氏は欧米諸国がウクライナ侵攻への対ロ制裁を続ける中でもロシア経済は成長していると強調、2023年の国内総生産(GDP)は3.5%増になるとの見通しを示した。「良い指標で、22年の落ち込みを取り戻した」と述べた。実質賃金の伸び率が8%程度になるとの見方も示した。
生活に身近な質問にも答えた。ロシア国内で生鮮食品の「卵」が今年に入り4割高騰していることに対して、プーチン氏は「政府の仕事の失敗だ。対応を進めており、状況は間違いなく改善するだろう」と述べた。
プーチン氏には複数の「影武者」が存在するとの見方が出ている。プーチン氏にそっくりの人工知能(AI)画像がプーチン氏に影武者について質問すると、プーチン氏はやや驚いた表情を見せつつ、「初めての分身だ」などと述べ、会場を沸かせた。
ロシアのウクライナ侵攻を巡って対立する米国との外交についてプーチン氏は、「ロシアは米国との関係を改善する用意があるが、そのための条件はまだ整っていない」と述べた。
長期化するウクライナ侵攻について、プーチン氏は「ウクライナの南部・東部は、歴史的にロシアの領土で、親ロシア的な地域だった」と改めて持論を展開した。
ウクライナ軍との戦闘地域には「61万7000人の兵士がいる」とも述べ、ロシア軍の兵力は不足していないと強調した。
プーチン氏は一部の海外メディアからも質問を受けた。中国国営新華社は2024年の中ロ関係の発展について質問した。プーチン氏は「中国との協力関係はかつてないほど高いレベルにある」と述べ「さまざまな分野で着実に経済関係を発展させている」と期待を示した。
「西側諸国が北大西洋条約機構(NATO)の活動をアジアへとシフトさせようとしている」とも述べ、欧米諸国の動向をけん制した。
非友好国からも一部のメディアの参加が許可された。米紙ニューヨーク・タイムズの記者は「ここ1年近く西側メディアの記者はこうしたイベントに参加できなかった」と前置きした上で、米ロの関係改善に向けてロシアで拘束されスパイ罪で起訴された米紙ウォール・ストリート・ジャーナル記者らが米国に帰国できないかと質問した。
プーチン氏は「私はオープンだ」と釈明した上で「米国側と接触しており、対話は続いている。解決策が見つかることを願っている」と述べた。
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