【北広島】札幌日大高で17日に開かれた内閣府の「北方領土啓発次世代ラボ」の語り部事業では、同校1年生約70人が道外の大学生ら3人や元島民から領土を巡る歴史を学んだ。語り部の話に真剣に耳を傾けた生徒たちは、北方領土問題に理解を深め、次代を担う若者が関心を持つ方策を話し合った。(北海道新聞北広島版2024/1/19)
若者の視点で領土問題を啓発する「ラボ活動」のメンバーで、中央大2年の鶴田岳也さん(20)が札幌日大高卒業生だった縁で同校で実施した。鶴田さんら大学生と大学院生の計3人が来校した。
この日は3人が、旧ソ連に不法占拠された北方四島の返還を巡る問題を生徒たちに説明。オンライン参加した元島民の角鹿泰司さん(86)は、コンブ漁が盛んだった故郷の勇留島は、かけっこをして遊び、穏やかな暮らしが続いていたと振り返った。
一方、旧ソ連軍が侵攻した1945年9月には、家に土足で入り込んできた兵隊に父の時計や万年筆を奪われ、「殺される」と恐怖を感じた体験を紹介し、「領土問題を解決してほしい」と呼びかけた。
鶴田さんや角鹿さんの話を聞いた生徒たちは、4人1組になって互いの意見を交わした。松本勇紀さん(16)は「仮想現実(VR)動画を使って島を感じてもらうことで、問題への意識も芽生える。全国の人たちに知ってもらえるきっかけにもなる」と発表した。
終了後、福島結菜さん(16)は「これまでは北方四島の名前を知っていた程度だった。元島民の話を聞けたのは貴重な機会だった」と話した。(綱島康之)
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