プーチン大統領は北方領土にいつ来るのか

 今月11日のロシア極東ハバロフスクでの会合で、プーチン大統領が実効支配する北方領土に「いつか必ず行く」と述べた。これまで足を踏み入れたことがない大統領の「約束」を、現地の島民はどう受け止めているのだろうか。(北海道新聞2024/1/24)

 一般人が暮らす国後、択捉、色丹3島のうち、空港や観光のインフラが最も整う択捉は訪問先の最有力。だが、島民の一人は「そもそも約束をまだ知らない人もいる。みんながテレビやニュースを見ているわけではない」と話す。ざわめく日本政府とは対照的に、島には落ち着いた空気が広がっているようだ。

 気になるのは「いつ来るのか」だ。各島の関係者は「3月の大統領選前の可能性は低いだろう」と口をそろえる。吹雪が多い冬は避けるとの見方のほか、「難しい国際情勢下で実際にはそんな時間はない」(色丹関係者)と冷静な指摘もある。要人入りに備えた警備面の確認作業などの動きも見えないという。

 ただ、多くの住民が来訪を待ち望んでいる。択捉の関係者は「毎回のことだが、訪れたVIPに直接訴えると島の問題は解決する」と皮肉をこめつつ、開発の加速を期待する。国後、択捉両島と比べて発展のペースに不満が根強い色丹の住民は「進まないアスファルト舗装などの不満をぶつけたい」と話す。

 島民関係者によると、プーチン氏の訪問を通じ「日本に対してロシアの島だと示す必要がある」といった意見を持つ住民も多い。(本紙取材班)

ロシアのメドベージェフ大統領(当時)は2010年11月1日、ロシア国家元首として初めて北方領土国後島を訪問、インフラ施設や住民の生活状況を視察した(AFP=時事)

 

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