胸を離れぬ望郷 楽しい記憶 7日北方領土の日 元島民の体験、漫画動画に

 【根室色丹島出身の木根繁さん(86)の故郷への思いを描いた漫画を基にして、アニメ風の動画を作成したと、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部が5日発表した。「北方領土の日」の7日、動画サイト「ユーチューブ」上で公開する。若い世代への啓発が目的で、木根さんは「島から引き揚げる際のつらい記憶だけでなく、戦前の楽しかった思い出も若い人に知ってほしい」と話す。(北海道新聞釧路根室版2024/2/6)

■千島連盟根室支部 3作目が完成、公開へ

 8分43秒のフルカラー。漫画をスライド化し、台詞を朗読した。同様の動画の公開は3年連続で3作目となる。

 作品では序盤、戦前の色丹島カニを取ったり馬に乗ったりと、自然を満喫する小学生の木根さんの姿を描写。中盤からは終戦後に強制送還で樺太・真岡へ送られ、不衛生で食料も乏しかった収容所生活の様子を描いた。最後は、現在の木根さんが「いまだに故郷の島に自由に行くことができないのは残念、無念」と訴え、「あなたの中にも色丹島の記憶が残ってほしい」と呼びかける。

 漫画は、過去2作に引き続き、市内のイラストレーター大内さゆりさん(33)が担当。昨年6月から着手し、今年1月に完成させた。大内さんは「なるべく木根さんが実際に話した言葉を作品内で使うように意識した」と振り返る。

 5日の完成披露試写会の終了後、木根さんは「島は自然豊かで天国のような場所だった。そうしたことを若い人が知り、領土問題に興味を持ってくれればうれしい」と語った。

 動画は7日、ユーチューブの千島連盟根室支部の後継者組織「かけはしの会」のチャンネルで公開する。(川口大地)

 

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