24日で開始から2年となるロシアのウクライナ侵攻。ロシア政府は全土から人員と兵器を大量に投入し、北方四島周辺のロシア軍も少なからず影響を受けているとされるが、メドベージェフ安全保障会議副議長は1月、クリール諸島(北方領土と千島列島)への「新兵器の配備」を示唆し、日本をけん制した。(北海道新聞2024/2/23)
ロシア軍は、侵攻後も千島列島に配備する地対艦ミサイルの演習を続け、四島周辺海域では敵潜水艦の探知・破壊を想定した演習なども実施。軍事メディアは、軍がクリール諸島に点在する小島や人工構造物を詳細に調査し、海図の更新に着手していることも伝えるなど、活発な活動をアピールしている。
ただ、ロシア軍東部軍管区の発表では、択捉、国後両島に配備している地対空ミサイル部隊の演習は22年は2月の侵攻後、11月までに少なくとも6回あったが、23年は2~5月の3回しか確認できなかった。今年はまだ行われていない。
東部軍管区は22年10月を最後に、地対空ミサイル部隊の演習時の写真を公表しておらず、23年の演習は全て実弾を使わない「仮想発射」だった。軍事専門家からは、地対空ミサイルはすでに島外に搬出され、ウクライナに投入されているとの指摘がある。
ロシア軍にとって四島とその周辺は、対米核戦略を担う原子力潜水艦が航行するオホーツク海防衛の要。メドベージェフ氏は、侵攻の長期化で軍備が低下していないことを誇示したかったとみられるが、果たしてその余裕はあるのだろうか。(本紙取材班)
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