17日のロシア大統領選で通算5期目の当選を決めたプーチン大統領は、極東でも大幅に得票を伸ばした。極東連邦管区の11構成主体別の得票率は60%台が多かった前回2018年から一変し、全て80%以上を記録。北方領土は90%を超え、島民からも「信じがたい」との声が漏れた。3日間の投票期間中は全土で多くの不正が指摘され、プーチン氏に抗議の意思を示した有権者が各地で拘束された。(北海道新聞2024/3/19)
中央選挙管理委員会が発表した日本時間18日夕時点のプーチン氏の得票率は、18年の前回大統領選後に首長が更迭されたサハ共和国で同年比約23ポイント増の87.79%を記録。20年にプーチン政権に批判的だった知事が逮捕されたハバロフスク地方も80.06%で、政権が目標に据えた「得票率80%」に滑り込んだ。
北方領土を事実上管轄するサハリン州は86.37%。北方領土はクリール地区(択捉島)で91.06%、南クリール地区(国後、色丹両島)で96.78%を記録し、いずれも前回の70%台から大幅に伸びた。
異例とも言える結果について、四島関係者は愛国心が高まる現状に加えて「集落が小さく、投票しないと何を言われるかわからない」と説明。一方、ある島の住民は「数字が跳ね上がりすぎ。ここまで上がるとさすがにおかしい」と開票結果に疑問を投げかけた。
極東以外では、チェチェン共和国で99%を超えるなど9割以上の地域が相次いでいる。
独立系の選挙監視団体「ゴロス」によると、全土で投票期間中に寄せられた不正の疑いは計約2千件に上る。新たに導入された電子投票が不正の温床になったほか、選挙管理委員が投票箱に投票用紙の束を入れる場面が複数の投票所で確認された。同じ公務員が3カ所の投票所で投票させられた地域もあったという。
2月に死亡した反政府活動家ナワリヌイ氏の陣営が呼びかけた17日正午に「反プーチン」票を投じる行動は、首都モスクワをはじめ各地に広がり、投票所には行列ができた。人権団体「OVDインフォ」によると、日本時間18日午後5時までに22都市で87人超が拘束され、一部はナワリヌイ陣営の呼びかけに応じた市民だとみられている。
国後島での投票風景
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