遠のく四島返還、根室危機感 プーチン氏5選 元島民「時間ない」

 【根室】ロシアのプーチン大統領が大統領選で通算5選を決め、北方領土返還運動原点の地・根室では、領土問題の解決がさらに遠のくとの懸念が広がった。プーチン氏の次の任期は2030年までの6年間。平均年齢88歳を超えた北方領土の元島民からは「これ以上、日ロ関係が悪いまま時間だけが過ぎることはあってはならない」と訴える声が上がった。(北海道新聞デジタル2024/3/18)

 「大統領が誰であっても返還を訴え続ける姿勢は揺るがない。ただ、われわれに残された時間はあまりにも少ない」。元島民らによる千島歯舞諸島居住者連盟の角鹿泰司根室支部長(86)は18日、プーチン氏の5選に危機感を示した。

 ロシアのウクライナ侵攻による日ロ関係悪化で平和条約交渉や北方四島とのビザなし渡航の再開は見通せず、ロシア憲法の改正で「領土割譲」も禁止された。領土問題を巡る状況はプーチン氏の4期目の間に厳しさを増し、角鹿支部長は「ロシアがプーチン体制で変わらない以上、日本からより積極的に交渉再開を働きかけ、何とか事態を打開してほしい」と願う。

 根室経済を支える漁業も、四島周辺での日本漁船の安全操業がロシア側と交渉できない状況が続くなど、影響は大きい。

 ロシアがウクライナ侵攻を始めた22年のサンマ漁では当初、四島周辺のロシア主張排他的経済水域の航行を不安視し、この水域を南に迂回して漁場に向かう漁船が相次いだ。全国さんま棒受網漁業協同組合によると、同水域の航行でこれまでトラブルはないが、根室市のサンマ大型船主、飯作鶴幸さん(81)は「ロシアによる日本の非友好国指定が解除され、安心して航行できる以前の状態に早く戻ってほしい」と訴えている。

国後島・植沖墓地の墓標

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