北方領土の元島民の人数は、先月末の時点で5,135人と、終戦時に住んでいた人数の3割を下回りました。領土問題が進展しない中で一段と減少が進む状況に、元島民は厳しさを痛感しています。北方領土の元島民などでつくる「千島歯舞諸島居住者連盟」によりますと、この1年間に亡くなった元島民は161人にのぼりました。先月末の時点で元島民の数は5,135人で、終戦時に北方領土に住んでいた人数1万7,291人に対して29.7パーセントとなり、初めて3割を下回りました。また、元島民の平均年齢は88.5歳となり、高齢化も一段と進んでいます。北方領土問題をめぐっては、ロシアは2年前、ウクライナへの軍事侵攻に対する日本政府の制裁措置に反発して平和条約交渉を中断すると一方的に表明したほか、元島民らによる「ビザなし交流」や先祖の墓を訪れる「北方墓参」などの事業も再開の見通しが立っていません。90歳となった今も精力的に語り部として活動している色丹島出身の得能宏さんは「終戦時の3割を下回ったことはそれだけ現実が厳しいということだ。せめて元島民が生きているうちに領土問題が1歩でも2歩でも前進して、後継者に引き継げるようにしたい」と話していました。(NHK北海道 NEWS WEB2024/4/2)
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