ロシアが実効支配する北方領土で、学校と幼稚園の新規開校が相次いでいる。
国後島南部の泊に5日、幼稚園・学校の一体型施設が開校した。北方四島を事実上管轄するサハリン州政府によると、隣接する集落ドゥボボエを含めて計100人の子供たちが通うという。(北海道新聞2024/4/19)
2022年と23年にも択捉島別飛(べっとぶ)、紗那にそれぞれ学校が開校。紗那の新校は定員400人でクリール諸島(北方領土と千島列島)最大。物理や生物など多分野の専用教室や充実した運動設備があり、リマレンコ州知事は「快適でハイテクで、時代のあらゆる要求を満たす学校」と誇る。色丹島穴澗などでは幼稚園の建設も進んでいる。
四島では、水産、建設業などの仕事を求めて国内各地などから一時的に移り住む若い世代の家族が増えているとみられ、子供の数が右肩上がりだ。連邦統計局によると、23年1月1日時点で就学前の1~6歳の人口は1879人。10年前と比べて約60%増え、総人口の約10%を占める。
ロシア政府はウクライナ侵攻後、四島の道路や港湾などの整備費を縮小しているが、教育施設に関してはおおむね維持している。
一方、択捉島選出の州議会議員は9日、通信アプリで軍の村がある瀬石温泉に幼稚園がなく学校も老朽化していることを指摘し、「こんな場所はロシアでここだけだ」と州政府を批判。侵攻を支える軍への配慮も見えるが、整備が追いついていない実態も根強くあるようだ。
コメント