北方領土を実効支配するロシアが、国後島の中心地、古釜布(ユジノクリーリスク)郊外で「勝利公園」の整備を進めている。街の中心部には第2次世界大戦の戦死者を追悼する勝利広場が既にあるが、勝利公園は日本軍からの島の「解放」をより強調する場になっている。(北海道新聞2024/4/26)
公園の場所は、大戦末期に北方四島に侵攻した旧ソ連軍の上陸地点。元々何もない原っぱだったが、2020年に公園に整備することが決定。旧ソ連製戦車など兵器4台が展示のために運び込まれ、23年には子供用遊具が設置された。
公園そばの道路の名称は、ロシアの対日戦勝記念日にちなんで「9月3日通り」と名付けられている。島の「解放」を記念した兵士の胸像もあり、数年前から対日戦勝記念日と5月9日の対ドイツ戦勝記念日の式典も胸像の前で行われてきた。
地区議会の議員は、整備の目的について「住民と訪問者の愛国心を力強く育む」と語り、式典のほか学校の授業などでも活用していく考えを示す。ソ連軍は日ソ中立条約を無視して四島に侵攻し、日本は「不法占拠」だとして島の返還を求めるが、ロシアの実効支配を宣伝する場がまた一つ増えそうだ。
公園は今年、緑化や舗装、トイレの設置などを進めて対日戦勝記念日までに完成させるとみられる。四島関係者によると、郊外にあり放し飼いされた牛がふんをすることなどから、普段は住民が集う場にはなっていないという。
国後島古釜布の郊外で整備が進む勝利公園(四島関係者提供)
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