根室振興局に今春着任した道職員らが北方領土問題を学ぶ元島民の講演会が、根室振興局で開かれた。3年目の今回は全道の振興局や本庁にも初めて配信し、千島歯舞諸島居住者連盟根室支部長の角鹿泰司(つのかやすじ)さん(87)の講話に約60人が耳を傾けた。この日は根室市立成央小でも元島民が講演した。(北海道新聞根室版2024/5/25)
振興局北方領土対策根室地域本部が2022年度に始め、本年度は21日に開催。角鹿さんは歯舞群島勇留島出身で、コンブ干しや流氷で遊んだ日常や、空襲で火に包まれる根室が島から見えたこと、旧ソ連軍が侵攻した恐怖や脱出時の様子などを語った。
職員は「さらに細かい話も聞きたい」「島での生活はとても豊かと分かった」と語り、所健一郎局長は「領土問題の最前線にいる私たちが理解を深め、元島民の思いを胸に業務に取り組むことが必要」と述べた。
■成央小では得能さん講演
成央小では北方領土色丹島出身の得能宏さん(90)が講演した。中学生が北方領土問題を語る市立学校生徒弁論大会が成央小児童を前に6月26日に開かれるため、事前学習で開かれた。
得能さんは「北方四島は本来は日本人が住んでいるべき島」と語り、終戦まで一度もロシア領になっていない日本の領土であることを訴えた。一方で戦後間もなく色丹島に移住したロシア人の子どもたちと遊んだ記憶や、中断しているビザなし渡航への思いに触れ「ロシアは好きではないが島に住んでいるロシア人は良い人が多い。返還された時には追い出すべできではない」などと語った。
角鹿さん(左)と得能さん
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