コンスタンチン・チェプルヌイ率いるロシア地理学会サハリン支部の登山遠征隊が国後島北部のドクチャエフ尾根にある3つの無名の山の登頂に成功し、それぞれにロシアの著名な科学者の名前を付けた。クリル自然保護区の領域に含まれるドクチャエフ尾根への遠征は、同保護区との協力協定に基づき18日から24日に行われた。尾根の北端には複雑な成層火山ルルイ火山(1485 m、ルルイ岳)があり、古い死火山シビルツェフ(1189 m)の北斜面に組み込まれている。ルルイ火山の噴火の歴史は不明だが、国後島の4つの活火山の1つと考えられている。当初、遠征は2022年に行われる予定だったが、悪天候が続いたため延期されていた。今年5月18日、6人の遠征隊員がユジノクリリスク(古釜布)に到着。全員サハリンの住民で、十分なトレーニングを受けており、クリル諸島の動植物にも精通している。一行は、ゴムボートで冷たいオホーツク海を渡る長い旅を経て、クマとの遭遇に備えながら滝や雪原を越え、山林の茂みを抜けてピークを目指した。沿岸航行に適した天候は 2 日間のしかなかったが、遠征隊は5月20日、3つの山頂への登頂に成功しただけでなく、約束の時間に戻ってきた。この遠征の発案者はサハリン州議会議員で、ロシア地理学会サハリン支部の評議員でもあるアレクサンドル・ボロトニコフであり、ロシア軍関係者が遠征隊をバックアップした。「その道のりは簡単ではなかったが、私たちは『天気のポケット』に恵まれた。登頂した次の 4 日間は、強風が吹いた。私たちを待っていてくれた保護区のボート間に合った。これが重要なことだ」とチェプルヌイ隊長は言った。山頂の命名に関する規則によれば、山頂に登った人だけが提案できるが、適切な書類をすべて揃えて申請し、一連の確立された手順と承認を経なければならない。チェプルヌイ隊長は「現時点で、科学者に敬意を表して名前が付けられたと言うのは時期尚早で、すべての法的側面を遵守する必要がある。しかし、国内だけでなく世界の科学の発展に多大な貢献を果たしたこれらの才能あるサハリン住民の名前が、近いうちにクリル諸島の地図に永遠に残ることを期待している」と語った。(クリル自然保護区ウエブサイト2024/5/24)
国後島のオホーツク海側。背景にはルルイ火山がそびえる。2024 年 5 月 20 日。コンスタンチン・チェプルヌイ撮影
遠征の出発。ペルブヒナ湾、オホーツク海沿岸。2024 年 5 月 18 日。アレクサンドル・ヤコブレフ撮影
クリル自然保護区内の滝。遠征ルートの障害物の1つだ。2024 年 5 月 20 日。コンスタンチン・チェプルヌイ撮影
ピスクノフ(標高1222m)の頂上に立つロシア地理協会の遠征隊のメンバー。サハリンの地質学者ピスクノフにちなんで命名された。2024 年 5 月 20 日。コンスタンチン・チェプルヌイ撮影
地球物理学者で地震学者にちなんで名づけられたソロヴィヨフ(標高1149m)の山頂で。2024 年 5 月 20 日。アレクサンドル・ボロトニコフ撮影
地球物理学者にちなんで名付けられたセルゲイエフ(標高1227m)の山頂に登頂した遠征隊。 遠く左側にはチャティヤ火山(爺爺岳)が見える。2024 年 5 月 20 日。アレクサンドル・ボロトニコフ撮影
出発前の遠征隊、国後島オホーツク海側。2024 年 5 月 19 日
ソロヴィヨフ山頂(1149 m)
写真はクリル自然保護区のウエブサイトより
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