【根室】島が懐かしい―。千島歯舞諸島居住者連盟(札幌)、北方領土問題対策協会(東京)、道が20日に実施した本年度1回目の洋上慰霊では、慰霊を終え根室港岸壁に戻った元島民や後継者から故郷に眠る先祖への思いや暮らしを懐かしむ声があがった。(北海道新聞釧路根室版2024/8/21)
「船からでも慰霊できて感無量です」。昨年に続いて参加した国後島出身の黒沢忠幸さん(93)=中標津町=は島に眠る兄弟を思い手を合わせた。今年はひ孫まで4世代6人で訪れた。孫の佐藤真妃さん(34)=標津町=は「ビザなし交流で島には3回行った。また行きたいと思っていたが、(日ロ関係が悪化して)この情勢で行けなくなった。洋上慰霊は寂しいものもある」と語る。
国後島出身の古林貞夫さん(85)=根室市=は「晴れていて(同島の)爺々岳まで見えた。本当は島に上がって墓前で手を合わせたいが、洋上慰霊で少しでもかなえてくれて感謝している。3、4世など若い世代も洋上慰霊に参加しているので成長する過程で返還運動の礎になってもらいたい」と話す。
元国後島民2世の瀬戸川光江さん(75)=東京都=は国後島に眠る祖父に向かって「懐かしいでしょ」と亡き父の写真を見せた。「祖母は生前、根室市の自宅から国後島を見て『帰りたい』といつも言っていた」
亡き父が元島民だと今年の夏ごろに親族から聞いて参加した元択捉島民2世の高橋睦雄さん(66)=札幌市=は「遠くにとがった山が見えて択捉島なのかなと思った。根室で当時の地図も見せてもらい先祖が住んでいた家の場所なども分かり来て良かった」と笑顔を見せた。
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