北方領土青少年現地視察事業は2日目の20日、北海道根室市で行われ、富山県内の中学生18人が納沙布(のさっぷ)岬から北方領土を望み「近くて遠い島」を実感した。元島民による講話もあり、領土返還への思いを強くした。(北日本新聞社2024/8/21)
この日は晴れ、納沙布岬から3・7キロ先の歯舞群島の貝殻島や国後島をはっきり見ることができた。射水市新湊中2年の佐賀幸翔さんは「これだけ近いのに行けない。不法占拠されているのは悲しい」と話した。
根室市の北方四島交流センターでは、黒部市出身の祖父を持つ色丹(しこたん)島出身の得能宏さん(90)の講話を聞いた。11歳の時、旧ソ連軍が色丹島に押し寄せた当時を「兵隊は機関銃を持っていた。反抗すると撃たれると思った」と振り返った。
ロシアのウクライナ侵攻後、日本とのビザなし交流や平和条約締結交渉は中断されたまま。元島民が高齢化する中、得能さんは「領土問題の解決は何年かかるか分からない」とし、若い世代の関心の高まりに期待を寄せた。
生徒たちはメモを取り「北方領土が返還されたら何をしたいか」「島にいた頃の暮らしはどうだったか」と熱心に質問した。高岡市中田中3年の高桑啓悟さんは「思いをしっかり受け止め、私たちはこれから何ができるのかを考えたい」と誓った。
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