千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の前理事長で、前羅臼町長の脇紀美夫さんが83歳で亡くなった26日、訃報に接した根室管内の関係者は在りし日を振り返った。(北海道新聞釧路根室版2024/8/27)
脇さんは国後島留夜別村出身。羅臼町職員、助役を経て2003年から3期12年、町長を務め、15年から23年まで2期8年は千島連盟理事長を務めた。
根室市の石垣雅敏市長(73)は、市職員時代を含め30年以上の付き合いで、ロシア主張領海内の安全操業実現などの課題に町長就任前から脇さんと共に取り組んだ。「ロシアとの関係が良い時も悪い時もいろいろな意見があったが、それを一つにしたのは脇さんのリーダーシップ」と理事長としての功績をたたえた。
歯舞群島志発島出身で別海町支部の臼田誠治支部長(85)は「真面目な人だった。私の方が少し年上だったので、いろいろ相談を受けることがあった。決断力のある人」と残念がった。今年2月、根室市で行われた根室管内住民大会で「脇さんを探していたら、後ろから肩をもまれてびっくりした」と話した。
同多楽島出身で標津支部の福沢英雄支部長(84)は「同じ時代に北方領土で暮らした仲間がいなくなって悲しい」と寂しげに語った。福沢さんは修学旅行生への語り部活動を羅臼で行うこともあり、「脇さんは毎回のように聞きにきてくれた。人格者を失ったが、今後も返還運動を続けていく」と力を込めた。
「元島民が少なくなる中、リーダー的存在だっただけに非常に残念」と、国後島民2世で中標津支部の舘下雅志支部長(65)は肩を落とす。「元島民2世らでつくる『千島連盟後継者活動委員会』の活動について相談させてもらった。後継者育成の面で支えていただいた」と感謝した。
脇さんが羅臼町長を勇退した後の2015年から務める湊屋稔町長(61)は、「功績をいつまでも忘れず、これからも地域のために尽力してまいります」とコメントした。
コメント