北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部は、墓参の代わりとして20日に始まる本年度「洋上慰霊」の各回終了後に参加者による懇親会を根室市で初めて開く。元島民の高齢化で領土返還運動の継承が課題になっているため、元島民と3、4世らが交流する場をつくり北方四島への思いを伝える。(北海道新聞デジタル2024/8/16)
洋上慰霊は3年目。今年は根室港発着で9月21日までに7回行う。航路は国後島南と歯舞群島の近くをそれぞれ日帰りする2コースに加え、国後島北の1泊2日コースを新設した。
懇親会は墓参やビザなし交流の中断で元島民と後継者が触れ合う場が激減したため過去の洋上慰霊参加者が要望した。根室支部の後継者でつくる「かけはしの会」が中心となり1泊2日コースを除く計6回の帰港後に根室市の千島会館に集まり、軽食や茶菓子を楽しみながら四島への思いを語り合う。
千島連盟によると6月末の元島民5095人の平均年齢は88.7歳。2世も60.8歳と高齢化し返還運動の担い手確保が課題だ。同支部の角鹿泰司(つのか・やすじ)支部長(87)は「懇親会を元島民が体験した引き揚げの苦労や島の様子を伝える機会にできれば」と話す。
洋上慰霊はコロナ禍と日ロ関係悪化で2020年から中断する墓参の代わりとして千島連盟と北方領土問題対策協会、道が主催。四島に眠る先祖をチャーター船からしのぶ。今年の参加者は8月5日現在の集計で昨年の268人より約3割多い347人。鈴木直道知事も4回目(9月2日)の歯舞群島コースに参加する予定だ。
コメント