北方領土を事実上管轄するロシア・サハリン州政府などが昨年から、モスクワなど大都市に拠点を構える大手企業の幹部らを島に招待するビジネスツアーを手がけている。開発への投資を促す狙いで、昨年夏の択捉島に続き、今年は今月上旬に国後島で行った。(北海道新聞デジタル2024/7/20)
招待企業の顔ぶれにはロシア側の開発方針が表れている。主軸は観光で、択捉島を訪問した9社のうち関連企業は6社を占めた。その他はバイオ燃料発電事業者や水力発電機器メーカーなどで、ディーゼル発電に頼る島の電力供給源を多角化したい意図がうかがえる。
国後島も参加7社のうち観光関連が6社で、残りは照明メーカー。特殊な光で養鶏や魚類養殖で効果的な成育を促す技術を持つ企業で、近年盛んなサケの養殖などに参入してもらう狙いがありそうだ。
昨年も今年もツアー後には、「島は潜在力を秘めている」などと企業側の好意的な発言が伝えられている。ただ、招待企業が投資したケースは、まだ表面化していない。
北方四島は不安定な交通・物流網や観光シーズンの短さという長年の課題に加え、ウクライナ侵攻による資機材や労働力の不足もある。ロシア政府は今月、大陸と四島を結ぶ貨物船を充実させる方針を示すなど投資環境の改善に躍起だが、成果につながるかは見通せない。
コメント