かつてロシア軍の町として栄えた択捉島ゴルノエ村の運命をめぐる論争は、ここ数年止むことがなかった。村は閉鎖され、住民は都市部に再定住する予定だったが、その後、軍の駐留拡大に関する噂が再び広まった。2023年11月になると、村の再建に向けて光が見え始めた。生き残った数少ないアパートの改修が始まった。しかし、修復工事の質があまりに低く、住民の間で不満が広がっている。住民の1人が、修理によって、むしろ悪化してしまった現在の悲惨な状況を示す映像をCitysakh.ruに送って来た。この女性は、家屋で悪夢のようなことが起こっていると主張している。修復工事の後、壁や屋根、窓に多数の穴が開き、雨漏りがするようになった。湿気がひどくなり壁紙は剥がれ、床は腐り、カビが生えているという。「屋根を剥がし、入り口の修理を始めましたが、水漏れしています。配管からも水漏れ。やっと今、屋根の修理が始まっていますが、2、3週間、家の半分が開いたままでした」と住民はあきれる。この状況は、すべての住宅が社会賃貸契約に基づいて提供されているという事実によって複雑になっている。住宅は行政が所有しており、修理はジルコムサービスが行っている。「私たちは待つように言われますが、損傷した家屋を修理する人は誰もいません。作業員は建築資材がないと絶えず文句を言っています。そのため、修理は際限なく遅れています」と女性は憤慨している。老朽化した家屋のトイレ、パイプ、窓を交換する見積もりは示されたが、約束されたことは何一つ果たされていない。ゴルノエで長年の苦難に耐えてきた住民の中には、わが国の軍隊に従軍した人々もいる。そして今、彼らは、犬の保護施設よりも劣悪な環境で余生を送ることを余儀なくされている。(citysakh.ru 2024/6/13)
※ゴルノエ村
択捉島のクリリスク(紗那)から60km。かつて砲兵、ヘリコプター、戦闘部隊の家族が暮らしていたが1990年代に一部が撤退。その後の1994年の地震で大きな被害が出て、町は放棄された。29棟ある集合住宅のうち13棟に今も700人の住民が暮らしている。この間、町は軍の管理下にあり、住宅、水道、暖房など老朽化したインフラの更新は行われず、居住環境は悪化。2018年に軍から地方自治体に移管され、当座のインフラ整備と並行して移転計画が進められている。
択捉島・ゴルノエ地区のアパート 国防省からクリル地区行政に移管
択捉島のゴルノエ地区にあるロシア国防省が所有、管理してきたアパートがクリル地区行政府に移管された。(astv.ru 2021/11/20)
択捉島・内岡に3階建てアパート群建設 かつての軍の町ゴルノエ住民700人が移住へ
択捉島ゴルノエ村の住人約700人をクリリスク(紗那)に近いキトヴィ(内岡)に移住させる計画が動き出した。(サハリン・インフォ2019/2/13)
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