国後島・泊山のカルデラを訪問した観光客=2023年9月(国立クリール自然保護区サイトより)
ロシアが実効支配する北方領土で、今年も夏の最盛期に向けた観光ツアーが続々と登場している。
各社ツアーの定番は北方四島の雄大な自然体験。択捉島は単冠湾(ひとかっぷわん)や火山の指臼岳が人気で、散策や温泉入浴のほか、温泉卵作りを組み込んだツアーもある。
国後、色丹両島は羅臼山や材木岩などの自然名所に加え、今年は新たなアクティビティも本格的に登場。旅行業関係者によると、国後島はサーフィン、色丹島はボードの上に立ってパドルをこぐSUP(サップ)などが人気を集めそうだという。
大半のツアーは四島を事実上管轄するサハリン州の州都ユジノサハリンスクと択捉、国後両島を結ぶ往復航空券がセットとなり、3~5泊で7万~10万ルーブル(約12万~17万円)が一般的。高所得層向けには60万ルーブルを超すクルーズ船観光もある。
ユジノの業界団体幹部によると、四島ツアーの販売数はこの2年間で2倍に増え「1年前に予約する客もいるほど人気」だという。サハリンにとどまらず、首都モスクワやシベリアの中心都市ノボシビルスクなど、国内各地の旅行会社がツアーを組む盛況ぶりだ。
一方、昨年に続いて観光公害(オーバーツーリズム)が予想されるほか、旅行会社が航空券を買い占めたことで8月の択捉便の多くが4月中旬に売り切れる事態が発生。州議会が問題視し、旅行会社の購入制限や島の住民向けの追加便の導入などの議論を始めている。(北海道新聞2024/5/15)
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