北方領土で冬場のガソリン不足が慢性化している。バスなどの公共交通網が十分でなく、日本車や韓国車などのマイカー利用が進む島では死活問題だ。
島の関係者らによると、国後島では約2カ月前には底をつき、択捉島でも12月に入りなくなった。19日時点でも改善は見られず、通信アプリ「テレグラム」では「ガソリン販売が安定したことは一度もない」と嘆きの声が広がる。
ガソリンは主に大陸から貨物船で運ばれるが、冬場は荒天による欠航などで輸送が途切れることが最大の原因だ。関連商品も搬入できなくなるため、在庫が尽きたフロントガラス用ウオッシャー液を凍らないウオッカで代用する島民までいるという。
国後、択捉、色丹3島には稼働中のガソリンスタンドが各1カ所しかなく、島に貯蔵力がないことも拍車をかける。北方領土を事実上管轄するサハリン州のリマレンコ知事が7日に行ったテレビ中継などでの市民との「直接対話」では、島民が増設を強く訴えた。
四島関係者によると、大陸よりも近いサハリン本島の業者に注文し、樽で運んでもらう島民もいる。ただ、石油生産拠点のサハリンもガソリン精製工場がないため、大陸よりも価格が高く、売り切れもある。
国営ガスプロムは来年、サハリンでガソリンやジェット燃料の精製工場整備に関する投資調査を終えるというが、建設・完成にこぎ着ける時期は決まっていない。(北海道新聞2023/12/22)
国後島のガソリンスタンド(資料写真)
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