今月中旬にロシア極東ウラジオストクから小樽港に到着した旅客船が、日本側の船舶検査で20項目に上る安全面の欠陥を指摘されていたことが20日分かった。旅客船を所有する北方領土・色丹島の船舶・旅行業「ボストークツアー」は、要求に応じられないとして運航を中止。検査には「政治的な背景がある」と主張しているが、日本側は「特に厳しくしたわけではない」と説明している。(北海道新聞2023/11/21)
北海道運輸局などによると、旅客船に対し、13日の入港後に立ち入り検査を実施。ボートなどの救命器具や防火構造のほか、船籍や所有の履歴、船員の雇用協定といった文書類の不備などが見つかったという。
外国船の安全確保を巡っては、国際基準を順守しているかを寄港国側も検査する政府間協力の枠組みがあり、ロシアも加盟している。運輸局は「条約に基づいた検査。不備が見つかったので改善を頼んだだけだ」と強調する。
一方、ボストークツアー社幹部は、取材に対し「船の隅々まで検査された。嫌がらせだ」と主張。同社の公式サイトには当初、ウラジオストク―小樽間に定期航路を開設したことや、12月までの運航日程が掲載されていたが、全て削除された。予約済みの客には料金を払い戻したという。
同社は10月下旬、ウラジオストクと石川県・七尾間で旅客船を就航。ウクライナ侵攻後、日ロ間で空路を含めて初の定期旅客便だったが、地元で否定的な反応があったことなどを理由に到着地を小樽に変更していた。13日に第1便が小樽港に入り、20日に第2便が到着予定だった。(本紙取材班)
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