択捉島 クリル地区行政とギドロストロイの癒着スキャンダル

 択捉島で起こるほとんどすべての出来事は、この島から誕生した企業グループ「ギドロストロイ」と関係している。しかし、コインに裏表があるのと同じように、どんな成功にも2つの側面がある。(citysakh.ru 2023/9/4)

 Citysakh.ru通信社は今年、ギドロストロイによる法律違反について2回記事を書いた。 4月、サハリン州林業狩猟局は2件の訴訟でギドロストロイに勝訴し、同社は択捉島の生態系に生じさせた損害に対して数百万ルーブルの賠償金の支払いを余儀なくされた。

 そして今、サハリン州の仲裁裁判所では、別の興味深い裁判が進行している。地質調査企業「サハリン水文地質調査」が択捉島を管轄するクリル地区行政府とギドロストロイを訴えている。

 1993 年、会社には蒸気・ガス・水の混合物の鉱床を開発するライセンスと土地区画が与えられた。この土地は森林基金の領域にあり、ロシア連邦の財産であった。蒸気、ガス、水の混合物は本質的に再生可能なエネルギー源であり、択捉島はグリーンエネルギーが人々の利益のために使用された国内唯一の場所だった。島には 2 つの地熱発電所が建設され、住民の家に灯りをともした。

 会社は井戸を掘削しロシアで唯一の薬用泥の鉱床を発見した。長い間、そこは未踏の場所だった。調査会社は「バルカン」と名付け、2021年に泥の組成研究と鉱物埋蔵量の調査を開始。泥は温泉や美容にも使用できることが判明した。

 しかし、鉱物が豊富なこの山岳地帯に通じる唯一の道路に突然、検問所が出現し、会社関係者が井戸に近づくことを妨げた。検問所にはかなり攻撃的な警備員が配置されていた。

 クリル地区行政府が条例をつくり、ロスリーストル(連邦国家登録・地籍・地図作成局)を通じて、連邦所有の土地を市有地として登録したことが分かった。ロスリーストルがどうやってこの手続きを行ったのかは不明だが、その後、この区画はギドロストロイに賃貸される予定になっている。

 「択捉島にある連邦の土地が自治体の条例に基づいて不法に収奪されたことを連邦政府が知っているかどうかは分からない。土地の権利とは何の関係もない文書に基づいて行われた」と調査会社のコンサルタントは当惑している。

 状況を理解するために、地区行政の首長に注目してみる。より正確に言えば、市長と地区議会議長という 2 人の主要な役人についてだ。

 首長のワディム・ロコトフ氏はユジノサハリンスクで広く知られるようになった。2015年に知事周辺で仕事をしていたが検察当局の監査を受けて解任された。その後、ユジノサハリンスク市の公園管理者に任命された。しかし、またしても検察に目を付けられ、辞職した。その後、彼は市長によって択捉島に派遣された。どんなに遠い離島であっても、検察当局の目から逃れることはできなかった。ロコトフ氏は、適切な教育を受けていない人物を副市長に任命した。この件で、地方検察官が法律を遵守するよう注意喚起したが、ロコトフ氏が無視したため、案件は法廷に持ち込まれた。

 一方のクリル地区議会の議長は、以前ギドロストロイ社で広報として働いていたタチアナ・ベロウソワ氏が務めている。

 択捉島の住宅に電気を供給していた 2 つの地熱発電所が故障した2015年以降も、会社は掘削した地熱井を正常に稼働できる状態に維持してきた。会社がこれらの掘削井の所有者だった。「それらはすべて登録されており、今も有効だ。択捉島で地熱エネルギーが回復することを願っている」と会社の代表者は言う。

 しかし、この状況において連邦は奇妙な行動をとった。唯一の道路に検問所が出現した後、会社側は当局に苦情を申し立てた。その中には、鉱床開発のためのライセンスを発行するロネドラも含まれていた。しかし、この連邦政府機関は、この区画を長年使用してきた会社を擁護する代わりに、土地の使用状況の検査を行う決定をした。連邦はこれを口実に採掘の権利を剥奪しようとしているのではないかと調査会社は考えているが、ライセンスの有効期限は2025年までとなっている。

 「実際、これは90年代によく見られた乗っ取りであることが判明した。本土の人は、私たちの状況を知り、目を丸くして言う。『今でもそんなことが可能なのか?』と。でも択捉島では可能だ」と、会社の代表者は悲しそうに話した。

 

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