日本政府の渡航中止勧告が出ているロシアを訪問し、日本維新の会を離党した鈴木宗男参院議員(比例代表)に対し、北方領土の元島民や漁業者などからは訪ロを巡り賛否が分かれた。鈴木氏は今後も国会議員として活動する構えで、衆院道7区(釧路、根室管内)への影響が注視される。(北海道新聞釧路根室版2023/10/11)
鈴木氏は9日に根室市内で元島民らと面会し、北方領土墓参や北方領土周辺での日本漁船の安全操業再開をロシア側に直接要請したことなどを説明。参加者から一定の評価があった。千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部長の角鹿泰司さん(86)は「一日も早く墓参を再開してほしい。そのための突破口を開いてくれた」と話した。
根室市内の漁業関係者も、「安全操業のめどが立たず、ロシアによるウクライナ侵攻以降、漁業者は不安の中で生活している。漁業問題を話してくれて感謝している」とした。
一方、根室でも鈴木氏に対し厳しい意見が出ている。根室市に住む80代の北方領土の元島民は「個人プレーはかえって(日ロ関係にとって)逆効果だったのではないか。慎重に行動すべきだった」と語った。別の漁業者も「ひとりの国会議員がロシアに行って解決できるレベルの話ではない」と話した。
鈴木氏は今後、地域政党「新党大地」の代表として無所属で活動する。根室市議で新党大地根室支部長の遠藤輝宣氏(69)は「維新に入る前に戻るだけで(政治活動に)影響は無い」と語る。釧路市内の鈴木氏の後援会幹部は「訪ロは国益を考えて行動した結果だ」と、冷静に受け止める。
維新の党国会議員団副代表だった鈴木氏は、衆院道7区の自民党支部長に選ばれた長女の鈴木貴子氏(比例代表道ブロック)とは一定の距離を保ってきた。今後は無所属で活動することで貴子氏の「応援をしやすくなる」とみる地元関係者もいる。一方、国政で勢いを増していた維新を離党したことで、鈴木氏の政治力低下につながる可能性を指摘する声もあり、今後も動向に関心が集まりそうだ。(川口大地、野呂有里)
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