クリル自然保護区のスタッフが仕掛けたセンサー付きカメラが、親鳥が縄張りから成長した子供を追い払う瞬間をとらえた。国後島ペスチノエ湖畔(東沸湖)で2度目の冬を迎えたタンチョウのつがい。3月13日に、昨年春に生まれ、大きくなった子供を追い出して、繁殖の季節に入った。子別れの儀式は昨年の4月2日より、随分と早かった。2022年、国後島南部では5組のつがいが確認された。このうち2組が営巣(ペスチノエ湖とペスロフスキー半島=ケラムイ崎)したが、ヒナを成長させることができたのはペスチノエ湖周辺で営巣したカップルだけだった。2021年には5組のうち2組が営巣し1羽が孵化。2020年には7組が確認され、うち3組が営巣、ヒナを孵化させたのは2組だった。2013年には一度に2羽のヒナを育てたカップルもいた。ペスチノエ湖周辺で営巣するカップルの姿はセルノボツク川(東沸川)の河口近くで見かけるが、大型トラックが行きかうアスファルト道路が近くにあるため、タンチョウにとっては危険地帯だ。近隣住民は車と衝突して死んだ鳥や動物の死体をよく見かけている。ペスロフスキー半島では、営巣を成功させるため毎年4月15日から「静寂期間」が設けられている。半島は保護区の一部であり、狩猟や、犬の訓練、団体観光、殺虫剤の私用が禁止されている。(クリル自然保護区ウエブサイト2023/3/27)
右端の幼鳥を縄張りから追い払う親鳥
子別れの後、新たな子づくりに向けて求愛ダンス
バレエのカブリオールのようなタンチョウのジャンプ。アレクサンドル・ヤコブレフ
太平洋側の海岸で。両親と別れたばかりの若いタンチョウ。2023年5月15日。アレクサンドル・ヤコブレフ
親鳥から追われた若いタンチョウはペスチノエ湖の湿地帯にある、親の縄張り近くで暮らしている。アレクサンドル・ヤコブレフ
ペスロフスキー半島のカップル。2017年に生まれた「ホワイト」の愛称をもつメスにはタグが付いている。成鳥にタグをつけたのは世界で初めてだった。ロシアと日本の研究者は彼女を注意深く観察している。
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