国後島のクリル自然保護区と色丹島・歯舞群島からなる小クリル保護区への訪問者数が急増している。同保護区が観光客など訪問者に発行しているパス(許可証)の推移をみると、2019年1,325人、2020年1,740人、2021年はさらに増えて3,200人、そして2022年には4,205人となり、前年比31%増加した。この4年間で3倍以上に増えている。訪問者の3分の1はツアー客が占めている。2022年は13 の旅行会社がツアーを組んで1,525 人が訪れ、前年の825人から2倍になった。旅行会社別ではサハリンの「オメガ」が317人、同じく「サハリンとクリル諸島」301人、エカテリンブルグの「スプートニク」269 人、サンクトペテルブルクのツアークラブ「ピーク」234 人などとなっている。国後島での滞在期間は数日から長い人で1週間以上。訪問者の内訳は国後島住民659人でサハリンやロシア本土から来た人が3,546人。このうち外国人はフランス2人、ブルガリアとアルメニア、ベラルーシが各1人と少ない。ロシア国内では、モスクワからが1,257人、次にエカテリンブルグ 368 人 、3 位はサンクトペテルブルク287人となっている。最も人気があるルートはゴロフニン火山(泊山)のカルデラルートで、3,654人が訪れた。チャチャ火山(爺爺岳)ルートは472人、ぺスチノエ湖(東沸湖)が79人だった。最近、国後島北部のチャティナ川(音根別川)とプチチイ滝(ソコボイ滝)への立ち入りが認められ、クルーズ船で訪れることができるようになった。一方、急増する訪問者に対し、受入れ体制が追い付かないことが問題になっている。保護区内には本格的なビジターセンターはなく、小さな管理棟に15㎡の会議室があるだけだ。また、予算が限られており、レンジャーが使う監視小屋の修繕もままならない。今年、天然資源省は保護区内に訪問者用のミニ情報センターやモジュラーハウスなどの購入に資金を割り当てた。同保護区が管理する「小クリル保護区」では訪問者のチェックさえ行われていない。(保護区への立ち入りは無料)ここでも訪問客が急増しているが、観光客や研究者を受け入れるためのビジターセンターはおろか、常駐するスタッフさえいないのが実情だ。(Kurilnews.ru 2023/3/2)
ゴロフニンスキーの断崖(オリコノモイ崎)をバックに写真におさまる観光客(2022 年 10 月、撮影者マリア・ナウモワ)
国後島北部のチャチャ火山(爺爺岳)への登山(7 月末、撮影者マリア・ナウモワ)
キピャシチェエ湖(ポントウ沼)へ降りる観光客(2022 年 10 月 1 日、撮影者マリア・ナウモワ)
ゴロフニン火山(泊山)カルデラ・ルートにあるキピャシチェエ湖(ポントウ沼)=撮影者マリア・アスタシェンコ
ストルブチャティ岬の材木岩( 2022 年 6 月、撮影者アンドレイ・キセリョフ)
ゴロフニン火山カルデラの第一展望台。夏には、その絶景を楽しみに全国から多くの旅行者が訪れまる(撮影者マリア・アスタシェンコ)
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