ロシア産の活ウニ輸入額、過去最高 量は微減、単価が上昇 花咲港1~9月

 2022年1~9月の花咲港のロシア産の活ウニ輸入額が、前年同期比4・8%増の43億4800万円となり、2年連続で過去最高を更新する水準となっている。輸入量自体は微減だったが、総額を押し上げたのは単価の上昇が要因。水産物貿易はウクライナ侵攻による対ロ制裁の対象外で、昨年の赤潮による国産ウニ減少などを受け、北方四島産を中心としたロシア産ウニの需要が高まっているためとみられる。(北海道新聞根室版2022/11/18)

 貿易統計によると、花咲港の今年1~9月のウニの輸入額は前年同期から1億9900万円増加した。輸入量は前年同期比4・7%減の3517トンと微減したものの、1キロ当たりの単価は同10%増の1236円となった。キロ単価は10年前の2倍にのぼっている。

 水産関係者によると、昨年道東で発生した赤潮で沿岸のウニが大量死した影響で、北方四島産ウニの引き合いが強まっているという。さらに「円安の影響で、中国や和食人気の高い米国への輸出も多い」といい、海外需要の増加も単価を押し上げているとみられる。

 函館税関管内では、ウニの輸入は花咲港が6割を占め全道最多。ただ、稚内や石狩では輸入額、輸入量ともに増えている。

 活ウニはロシア当局による税関手続きを経て、殻付きのまま花咲港に運搬される。日本の対ロ制裁に水産物の禁輸は入っておらず、ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月以降も輸入は継続。四島水域が禁漁期に入る7~9月は一時的に輸入が途絶えたが、10月上旬には再開した。各国が対ロ制裁を発動する中、ロシア側にとってもウニ輸出は貴重な収入源になっているとみられる。

 根室の水産加工会社は、ウニの輸入が止まれば業務が滞ると懸念していたといい「(総重量に占める製品重量の)歩留まりはあまりよくないが、無事に再開して安堵(あんど)している」と話す。

 日本の関税法はロシアが実効支配をする北方四島について「当分の間、外国とみなす」としており、税関は四島水域の水産物を輸入扱いしている。(武藤里美)

 

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