元島民の思い漫画に込め イラストレーター・大内さゆりさん(32)=根室市=<四島よ私たちの願い 日ロ交渉停止>9

 根室市イラストレーター、大内さゆりさん(32)は今、北方領土元島民の体験を基にした漫画の2作目の執筆に取り組んでいる。90代の女性が12歳まで暮らした択捉島の思い出を振り返り、帰郷を強く願う物語だ。2月に発表した国後島出身の80代男性を題材にした漫画に続き、実話に基づき本人に寄り添って描く。(北海道新聞根室版2022/10/8)

 「自然豊かな択捉島で家族と暮らしたキラキラとした少女時代。『島に帰りたい』という思いがたくさんの人に届くように、と心を込めています」と語る。

 作品は来年2月までに動画サイト「ユーチューブ」向けに、絵が動いたり吹き出しが浮かび上がったりするように映像化もする。今年公開した1作目の動画は再生3千回を超えた。

 漫画の作成を依頼したのは千島歯舞諸島居住者連盟根室支部の元島民後継者の「かけはしの会」。関係者は「北方領土問題をわかりやすく伝える作品になっている」。歯舞群島編、色丹島編の構想もある。

 根室出身。高卒後、働きながらイラストや漫画の書き方を独学し、2020年に起業した。この2年間でポスターや似顔絵など70件ほどを手がけた。

 高校生の時、ビザなし交流で国後島を訪れ、ロシア人と交流した。それだけに1作目の完成直後に始まったロシアによるウクライナ侵攻を悲しく思う。「国と国が対立して傷つくのは、ひとりひとりの人間。その悲しみを大人にも子どもにも伝わるように描きたい」。(松本創一)

 

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