ロシア、北方領土で対日戦勝行事 実効支配誇示、軍演習も

 ロシア政府が「第2次世界大戦終結の日」とする3日、サハリン州の州都ユジノサハリンスクや同州が事実上管轄する北方領土で記念イベントが開かれた。ウクライナ侵攻の影響で対日関係が悪化する中、ロシアによる北方四島領有の正当性をアピール。日本政府が中止を求めていた北方領土での軍事演習を強行したことを同日に合わせて発表するなど強硬姿勢を示した。(北海道新聞2022/9/4)

 「この島々で最後の戦いが行われ、軍国主義日本に勝利し、南サハリンとクリール諸島(北方領土と千島列島)は解放された」。リマレンコ州知事は同日午前のユジノサハリンスクでの式典で、旧ソ連による対日参戦の意義を強調した。

 地元メディアによると、北方領土に配備する地対艦ミサイル部隊やロシア国防省の愛国運動組織「ユナルミヤ」(若き軍隊)が参加。軍関係者ら約400人が行進した。

 北方領土でも択捉島紗那(クリーリスク)と国後島古釜布(ユジノクリーリスク)、色丹島穴澗(クラボザボツコエ)でそれぞれ式典を開催。古釜布では多連装ロケット砲などの兵器も展示された。

 インタファクス通信などによると、ロシア軍は同日、大規模軍事演習「ボストーク2022」の一環で、駐留する択捉島ガリャーチエ・クリューチ(瀬石温泉)、国後島のラグンノエ(二木城)で軍事訓練を実施。規模は不明だが、152ミリりゅう弾砲で島の上陸を阻止する打撃訓練などを行ったとみられる。

 旧ソ連は1945年8月9日、日ソ中立条約を無視して対日参戦し、9月5日までに北方領土を占領。ロシア政府は日本が連合国との降伏文書に調印した2日を第2次大戦終結記念日に制定したが、2020年に旧ソ連時代の「対日戦勝記念日」だった9月3日に変更した。

 プーチン政権は近年、北方四島の領有は「大戦の結果」だとして正当化する主張を強める。愛国心を鼓舞することで求心力を維持する狙いもあり、ウクライナ侵攻後はその姿勢が加速。ロシア下院では与野党の議員が9月3日を旧ソ連時代と同様、対日戦勝記念日に名称変更する法案を提出し、成立に向けた準備が進んでいる。(渡辺玲男)

 

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