ロシアでは日本からの中古車の輸入が昨年に比べて43%増加した。2022年1月-8月の間に、ウラジオストクの税関を通って10万77台の中古車が輸入された。8月1カ月だけで2万1,500台となり、昨年同時期の1万7,000台を上回った。7月は約1万5,000台だった。プリモリエ・メディアによると、ウラジオストク港は増え続ける中古輸入車に対応できておらず、多くの輸入業者は新規注文を受け付けていない。(astv.ru 2022/9/2)
日ロ貿易停滞でも…中古車輸出は急増 新車の現地生産停止、ルーブル高背景
(北海道新聞2022/8/29)
日本からロシアへの中古車輸出が急増している。ロシアのウクライナ侵攻後、日ロ貿易は全体的に停滞しているが、6月の日本からの中古車の輸出額は2009年1月以降で最高を記録。新車の現地生産を停止したことによる供給不足やルーブル高で、中古車需要が高まっている。一方、新車輸出は急減しており、中国メーカーなどがロシア市場でシェアを拡大している。
財務省の貿易統計によると、日本からロシアへの6月の輸出額は前年同月比49・9%減の398億円。一方で中古車は約2倍の189億円と全体のほぼ半分を占め、輸出台数は同25%増の1万7千台に上った。
主な理由は、日米欧のメーカーが4月下旬までにロシアでの新車生産を停止し、供給不足になったことが大きい。日本政府は2月のウクライナ侵攻後、600万円超の新車、トラックなどの輸出を規制したが、中古車は対象外。侵攻後、中古車の輸出台数も一時落ち込んだが、5月に下げ止まり、6月に上昇に転じた。
侵攻後、海運大手の定期貨物船は停止したが、主にウラジオストクへのチャーター船や中国経由などのルートが生きており、富山県からの輸出が大きく伸びている。函館税関小樽税関支署によると、道内でも主に小樽港から輸出が続き、上期(1月~6月)の輸出台数は前年同期でほぼ横ばいの2070台を維持した。
日本国内でも半導体不足などによる新車の納車遅れで、中古車需要は高まっている。ただ、価格が過去最高水準に高騰し、消費者にとって割高な状況が続く。
ロシア向けも車両単価や輸送経費は上昇しているが、円安・ルーブル高がそれを緩和している。侵攻前の1ルーブル=約1・5円前後のレートは侵攻後に急落したが、4月下旬以降はルーブル高に振れ、現在は1ルーブル=約2・28円(28日時点)に上昇。日本車の購買意欲を後押ししている。
プーチン政権は、自国メーカーによる国内生産にも力を入れるが、日ロ経済関係者は「ロシア車は制裁で欧米から部品が入らずエアバッグがついていないケースもある」という。日本車は中古でも品質が評価されており、人気につながっているようだ。ロシアの主要銀行は制裁対象で送金が難しいが、対象外の金融機関を通じて手続きが行われているとみられる。
一方、ロシア向けの新車輸出台数は、日本の大手メーカーの自主規制もあり、制裁対象外の600万円以下の車も含め5月にゼロとなり、6月は1台にとどまった。これに対し、中国メーカーは現地生産を続けており、ロシアの市場調査会社によると6月の新車販売台数のシェアは過去最高の21%。昨年の販売台数で、中国メーカーは「ベスト10」圏外だったが、今年は大幅に伸びる可能性がある。
韓国メーカーはすでにロシア国内シェアの上位を占めるが、ロシア極東メディアは「日本が高級車輸出を禁止し、ライバルがいない。高級車でも韓国が日本に取って代わる」との予測を報じた。
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