北方領土の元島民らが船で根室海峡を訪れ先祖を慰霊する「洋上慰霊」が23日、根室港発着で始まり、初回乗船の42人がチャーター船「えとぴりか」から歯舞群島に向かって手を合わせた。ロシアのウクライナ侵攻により、北方領土へのビザなし渡航が当面見送りになった中での慰霊。荒天のため北方領土は見えなかったが、元島民らは故郷に思いをはせた。(北海道新聞2022/7/24)
元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)と道が主催。参加者を全国から公募した慰霊は、2020年の航空機を使った上空慰霊以来2年ぶり。
船は午前9時半過ぎに出航。荒天のため予定されていた歯舞群島水晶島沖の日ロ中間ライン近くまでは行かず、根室港沖約6キロ地点で折り返した。
船内での慰霊式で元島民や遺族ら参加者は歯舞群島に向かって30秒間黙とうし、1人ずつ船内の祭壇に献花した。千島連盟の脇紀美夫理事長(81)=根室管内羅臼町=は「ロシアのウクライナ侵攻による日ロ関係の悪化で四島訪問の機会が奪われ洋上慰霊となったが、島々に眠る御霊(み たま)の安寧を祈りたい」と述べた。
洋上慰霊は今後、水晶島沖で29日まで計3回、国後島沖で31日~8月10日に計6回行われる。(川口大地、小野田伝治郎)
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