今年の操業を7日に終えた北方領土・歯舞群島の貝殻島周辺でのサオマエコンブ漁で、ロシア国境警備局が日本漁船を点検する「臨検 」を厳格化していたことが根室市の漁業関係者への取材でわかった。従来1隻だったロシア側の臨検ボートが2隻に増え、臨検件数も増えた。トラブルは無かったが、近年にない体制で、関係者は「日ロ関係の悪化前に比べ厳しくなった」と指摘している。(北海道新聞2022/7/14)
今年の貝殻島周辺のサオマエコンブ漁は日ロ民間交渉の遅れで例年より約3週間遅い6月22日に開始。220隻が出漁し、2週間で8回操業した。
臨検は、日ロ中間ラインのロシア主張水域側で国境警備局が操業承認書の点検などを行うこと。複数の漁業関係者によると、ロシア側はゴムボート2隻で、多い日は1日約40隻を臨検。携帯電話を見せるよう求めたり、船上のコンブについた石や虫を取るよう厳密に要求したりする例もあったという。根室市内の50代の漁業者は「日ロ関係の悪化の影響ではないか。異常だった」と話す。
国境警備局による臨検は近年、増加傾向にある。貝殻島周辺に出漁した漁船の大半が所属する歯舞漁協(根室市)などは漁期前にロシア側による臨検強化の可能性を漁業者に伝え、操業ルールの順守を指導していた。歯舞漁協と根室海保は臨検件数は明らかにしなかったが、ともに「臨検は昨年より増えた」とした。
歯舞漁協は指導に当たる船を従来より2隻多い3隻にして操業をチェック。現場海域でルールを逸脱する漁船はなかったという。(武藤里美、川口大地)
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