安倍元首相死去 北方領土元島民「問題解決に情熱」

 安倍晋三元首相は首相在任中、ロシアとの北方領土問題に「終止符を打つ」と訴え、プーチン大統領との平和条約締結交渉に意欲的に取り組んだ。「今後も力になってほしかった」。安倍政権の日ロ交渉を見つめてきた根室管内の元島民らはショックと無念さを隠さなかった。(北海道新聞釧路根室2022/7/9)

 「残念の一言に尽きる」。元島民団体・千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の脇紀美夫理事長(81)=国後島出身=は、突然の悲報に肩を落とした。

 安倍氏は2018年11月の日ロ首脳会談で、日ソ共同宣言を交渉の基礎に位置付け、四島返還から2島返還を軸とした交渉にかじを切った。その後の交渉は行き詰まったが、脇理事長は「領土問題を解決するという情熱を感じる政治家だった」と振り返った。

 角鹿泰司(つのかやすじ)・同連盟根室支部長代行(85)=歯舞群島勇留島出身=は「交渉の停滞を打破しようと『2島』を提唱したのだろう。これからも領土問題に関わってほしかった」と落胆した。

 国後島2世の鈴木日出男・同連盟羅臼支部長(70)は「こんなことが起きていいのか。北方領土問題で力になってくれる人が一人でも多く必要な時なのに、非常に残念だ」と語った。

 根室市の石垣雅敏市長は「北方領土問題を次の世代に先送りしないとの決意で全身全霊を傾けていただいた。謹んでご冥福をお祈りします」とコメントした。(武藤里美、田中華蓮、川口大地)

 

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