プーチン大統領は6月30日、日本企業が出資しているサハリン2プロジェクトの運営企業を変更する大統領令に署名した。現在の運営会社のサハリンエナジーに代わり、ロシア国営ガス会社のガスプロムが石油、天然ガスの生産を管理する。クレムリンは「外国の非友好的な行動」によるものとし、新しい運営会社にサハリンエナジーのすべての権利と義務が譲渡される。法令によると、ロシアの有限責任会社(LLC)を設立し、サハリンエナジーのすべての権利と義務を譲渡するとしている。ロシア政府は会社の創設者(参加者)ではないとし、新しい運営会社はガスプロムサハリンホールディングになる。外国企業は事業の株式を保有できるが、1カ月以内に、ロシア政府に、サハリンエナジーの株式に比例して作成される新会社の株式を受け入れる契約を提出する必要がある。(サハリン・クリル通信2022/7/1)
外国法人の株式受け取りにはロシア政府の「承認」が必要
外国の法人が半分を所有しているサハリンエナジーの株式の処理はさらに興味深い。新会社の授権資本の半分は、現在株式の50%を所有しているガスプロムが受け取り、残りは「凍結」される。外国法人は新たな株式を受け入れる契約を提出できるが、ロシア政府が「承認」した場合のみ株式を受け取ることができる。認められなければ4カ月以内にロシア国内の法人に売却される。実際の状況は、移管手続き全体が完了するまでほとんど分からないだろう。(サハリン・インフォ2022/7/1)
サハリン2をロシア企業に無償譲渡、プーチン氏命令 日本の商社出資
(朝日新聞2022/7/1)
ロシア極東の資源プロジェクト「サハリン2」について、ロシアのプーチン大統領は6月30日、運営会社の資産をロシアの新会社に無償で譲渡することを命じる大統領令に署名した。ノーボスチ通信が伝えた。事実上、国による「接収」となる可能性がある。運営会社には日本の商社が出資しており、ウクライナ侵攻をめぐり欧米と連携してロシアへの圧力を強める日本への対抗措置とみられる。日本側は事業を継続する方針だが、厳しい情勢となってきた。
運営会社の「サハリン・エナジー・インベストメント」は、ロシア国営のガス最大手ガスプロムが約50%、英石油大手シェルが約27・5%、三井物産が12・5%、三菱商事が10%出資。シェルはロシアの侵攻後、撤退を決めていた。
大統領令は、ロシア政府が設立する新会社にすべての権利と義務を移し、従業員も転籍するよう求めている。ガスプロムの出資は維持され、他の出資者は1カ月以内にロシア政府に新会社の株式取得の承認を申請して認められれば出資を継続できる。
サハリン2「ロシア企業に無償譲渡」の大統領令…三井物産・三菱商事グループ出資
(読売新聞2022/7/1)
ロシアの有力紙「コメルサント」などは6月30日、プーチン露大統領が、露極東サハリンでの石油や天然ガスの採掘プロジェクト「サハリン2」の運営会社で日本企業も出資する「サハリン・エナジー・インベストメント社」について、資産をロシア企業に無償で引き渡すよう定める大統領令に署名したと伝えた。
同社は、露国営ガス会社ガスプロムの他、三井物産や三菱商事の各グループ企業が株主となっている。大統領令では、露政府が新たに有限会社を設立し、全ての権利を譲渡することを定めているという。
プーチン政権はウクライナ侵略を巡り、対露制裁を科す日本や欧米を「非友好国」に指定した。サハリン2を巡っては、これまでも露下院議長らが日本企業などの権益を露企業に引き渡すべきだと発言していた。
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