第二次大戦末、旧ソ連に占領されたロシア・サハリン州(樺太)南部で育ち、現在はウクライナに住む日本人男性が、ロシア軍の侵攻を受け、家族とともに隣国ポーランドに避難した。男性らは18日、祖国である日本に向かう。2回の戦争で人生を変えられた男性は今、何を思うのか。(毎日新聞2022/3/15)
男性は降旗英捷(ふりはたひでかつ)さん(78)。長野県で生まれたが、父親の仕事の都合で当時、日本領だった樺太南部に移り住んだ。だが1945年8月、ソ連が日本に侵攻。樺太は占拠され、その後、ソ連領となった。幼かった降旗さんだが、今でもソ連兵が家に上がり込み、「なぜ日本人が残っているのか」と威嚇した日のことを覚えているという。
樺太に残留した邦人は59年までに大部分が帰国した。だが降旗さんの父親には許可が出なかった。理由は不明だが、製紙工場で働いていた父親が有能だったため、ソ連が手放さなかったとみられている。降旗さんはレニングラード(現サンクトペテルブルク)工業大に進学後、ポーランド人の妻と結婚。71年、妻の姉がいる現在のウクライナに移り住んだ。その後、機械工として長年働いてきたという。99年以降、日本の市民団体の支援…
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