稚内市、サハリン事務所に送金不能 維持経費の支払い滞る恐れ ロシアへの金融制裁

 ロシアのウクライナ侵攻を巡り、ロシアの大手銀行が国際決済網から排除される金融制裁が稚内市サハリン事務所を直撃している。現地への事務所経費の送金ができなくなる見通しで、制裁が長期化すれば事務所の維持が厳しくなる懸念がある。開設から20年、厳しい局面を迎え、市関係者は苦慮している。(北海道新聞留萌宗谷版2022/3/6) 

 米国や欧州、日本は国際的な決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの大手銀行を排除することを決めた。SWIFTは国境をまたぐ送金、決済の機能を担う「インフラ」といえる。

 市によると、サハリン事務所の主な維持費は事務所の家賃や光熱費、雇用するスタッフの給与などだ。ロシアの銀行に開設した口座に経費を半年ほど賄える預金残高があるが、金融制裁が長期化すれば経費や給与の支払いなどが滞る恐れがある。一方、ロシア国内の物資不足や通貨ルーブルの下落が進めば、インフレが加速するとの懸念も指摘されており、事態は極めて深刻だ。

 打開策として、市職員が現地に出向く際、現金を携帯することも検討している。ただ、外為法などでは国外への持ち出しできる金額に基準があるほか、防犯上のリスクもある。追加制裁で日ロ間の往来が遮断されれば、職員が現地入りできるかどうかも不透明だ。

 市サハリン課長兼サハリン事務所長の三谷将(まさし)さんは「何とか送金できる手だてがあれば良いが、こうなっては事態の推移を見守るしかない」と、手詰まりの現状に顔を曇らせる。

 市サハリン事務所は2002年、道内の市町村としては初めて州都ユジノサハリンスクに開設された。主にサハリンと稚内の交流推進や、稚内港の利用促進に向けた現地企業へのPRなどを手がけている。(高橋広椰)

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