北方領土ビザなし渡航で2019年7月に色丹島を訪れた日本人通訳の女性がロシア当局に一時拘束されていたことが分かった。ロシアの民間テレビNTVが「北方領土の日」の7日、拘束時の映像を報道。日本政府も拘束の事実を認め、ロシアが北方領土で管轄権を行使したことに抗議していたことを明らかにした。(北海道新聞全道版2022/2/10)
日本政府関係者によると、女性は元島民らが昔の居住地を訪れる「自由訪問」で色丹島に滞在中、ロシア連邦保安局(FSB)に一時拘束され、取り調べを受けた。その後、解放され、他の訪問団員と共に根室港に戻ったという。
当時、ロシア側は日本人参加者に違反行為があったと発表したが、拘束などの詳細を明らかにしなかった。日本側は拘束を把握していたが、公表していない。
違反行為について、NTVは情報提供者から島の開発に関する機密資料を受け取ったと一方的に主張。「北方領土の日」に合わせた放映で、日本の領土返還要求が不当だと印象づける狙いがうかがえる。
ビザなし渡航は、両国の合意に基づいて双方の法的立場を害さない形で行われており、日本側はロシアによる管轄権の行使を認めていない。
日本政府は当時、「わが国の立場と相いれない」と抗議したという。(ユジノサハリンスク 仁科裕章、東京報道 文基祐)
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