終戦まで日本領だったロシア・サハリン(樺太)南部で、日本統治時代の建造物や墓石が壊されているのが、相次いで見つかった。地元自治体はいずれも「文化遺産に登録されていない」と説明するが、住民から「歴史的な遺産を保全すべきだ」と批判を浴びている。
地元メディアによると、西海岸のウグレゴルスク(恵須取(えすとる))市で10月下旬、旧恵須取第三国民学校の跡地にある校門のコンクリート製柱の一部がバス停留所を設置するため、重機で破壊された。これを知った住民は「歴史的町並みの一部で観光名所。無知で野蛮な行為だ」と抗議。市当局は「文化遺産に登録されていないものの、残っている柱は解体しない」と釈明に追われた。
トマリ(泊居(とまりおる))市では今月21日、文化会館裏に日本人の墓石が投棄され、かつて天皇の写真を納めていた「奉安殿(ほうあんでん)」がごみ捨て場になっているのを観光客が発見。「ショックを受けた」と会員制交流サイト(SNS)に投稿し、物議を醸している。
クレピコワ副市長は「いずれも一時的に置いているだけで、処分するつもりはない。周辺を整備し、保全したい」と理解を求めた。【ユジノサハリンスク仁科裕章】
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