自民党総裁選に立候補した高市早苗前総務相と野田聖子幹事長代行は19日、報道各社のグループインタビューに答えた。高市氏は北方領土交渉を巡り、安倍晋三前政権が平和条約締結後に歯舞、色丹2島を日本に引き渡すことを明記した1956年の日ソ共同宣言を交渉の基礎に位置づけたことに関し「交渉の範囲を(2島に)狭めて、ちょっとずつやっていくことは、現実路線としてあり得る」と述べた。野田氏は「安倍氏が敷いたレールがある」と述べ、交渉方針を引き継ぐ考えを明らかにした。(北海道新聞2021/9/20)
安倍氏は2018年11月のシンガポールでの日ロ首脳会談で、同宣言を交渉の基礎とすることで合意し、事実上の2島返還方針に転換した。高市氏は、交渉対象は国後、択捉両島も含めた北方四島との認識を示したが、歯舞、色丹2島に関する交渉を先行させる可能性を示した格好だ。
高市氏は、領土交渉について「ロシアが(北方領土での)経済活動を多くの国に呼びかけるなど相当厳しい状況になっている」と指摘。安倍政権の交渉方針を踏襲するかについては「外交の継続性もある」とした上で、交渉状況について「十分に精査した上で判断する」と述べるにとどめた。
野田氏は領土交渉について「日本の都合だけでは進まない。相手も国民の支えで政権を担っていることに配慮して丁寧に進める必要がある」と主張。交渉方針について「交渉は継続性だ」と述べた。(関口潤、文基祐)
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