北方領土・国後島から「亡命のため泳いで来た」と主張するロシア人男性(38)が根室管内標津町で保護された問題で、男性が収容されている札幌出入国在留管理局で共同通信の取材に応じた。男性は「強権体制のロシアから離れたかった。プーチン政権に嫌気が差した」と渡航の理由を語り、「23時間かけ自力で泳いだ」と説明した。(北海道新聞2021/9/7)
男性が北海道本島に渡って以降、国内外のメディアの取材に応じるのは初めて。男性によると、日本時間8月18日午前5時ごろに国後島南部を出発。ウエットスーツとシュノーケルを身につけ、水を通さない袋に荷物を入れた。途中で雨が降り「本当にたどり着けるか」と不安だったが、翌19日午前4時ごろに同町に到着。出発前に島の商店で両替した現金3万円を所持し、同町内のホームセンターで靴などを購入した。
日本政府から上陸の許可を得ておらず、不法な上陸とみなされる可能性については「予想したが、海外渡航用のパスポートを紛失した。国を出るにはこの手段しかないと思った」と釈明した。難民認定を申請したのは、入管の職員から「申請する権利がある」との説明を受けたためという。
政府関係者によると、当面は送還されない見通しだが、男性は北方領土やロシア本土に戻れば「刑務所や精神科病棟に入れられる」と不安を吐露。収容先では「食事も十分取れ、体調は問題ない」と話した。
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