「憲法改正、考慮が必要」 領土問題でプーチン氏 交渉継続は明言も、強硬姿勢崩さず

 ロシアのプーチン大統領は4日、各国の通信社幹部とサンクトペテルブルクで会見し、日本との北方領土問題について「憲法改正を考慮しなければならない」と述べた。ロシアは昨年7月に発効した改正憲法に領土割譲の禁止を明記。プーチン氏は「平和条約に関する対話を止める必要はない」と交渉継続は明言したが、領土を巡る強硬姿勢を改めて示した。(北海道新聞2021/6/5)

 ロシア大統領府が会見内容を公表した。プーチン氏は「日本と良好な隣国関係を構築しなければならない」と指摘。米国が同盟国の日本にミサイルを配備する可能性に触れた上で「ロシアの脅威にならないかという問いに確固たる答えが得られていない」と述べ、安全保障問題が交渉の障害との認識を改めて強調した。

 両国は2018年11月の首脳会談で、平和条約締結後に歯舞群島色丹島を日本に引き渡すと明記した1956年の日ソ共同宣言を交渉の基礎に位置付けたが行き詰まった。ロシア側は領土問題を棚上げし、幅広い関係強化に向けた善隣友好条約の締結を求める姿勢を強めており、プーチン氏の発言もこれを念頭に置いている可能性がある。

 プーチン氏は2月に国営テレビの番組で、日ロ関係について「ロシア憲法に矛盾することは何も行わない」と発言し、改正憲法が領土問題に影響する可能性を示唆した。改正憲法は隣接国との国境画定作業を領土割譲禁止の対象から除外しているが、プーチン氏は会見で北方領土が除外対象になるかや、日ソ共同宣言に明記された2島の日本への引き渡しの扱いについて言及しなかった。(サンクトペテルブルク則定隆史)

 

プーチン氏発言要旨

(北海道新聞2021/6/5)

プーチン・ロシア大統領の発言要旨は次の通り。

  • 日ロは戦略的に平和条約締結で利害が一致している。交渉を継続する用意がある。
  • (領土割譲禁止条項を盛り込んだ)憲法改正はもちろん考慮する必要があるが、平和条約交渉を停止しなければならないとは思わない。
  • 両国民の利益に合致する善隣関係を築かなければならない。われわれは多くの分野において、自然なパートナーだ。
  • 北方領土引き渡しについて)日本の立場は1956年以来、次々と変わった。日本の要請で交渉を中断。その後日本の要請で2島の交渉を再開。さらに日本は4島(返還)に立場を変えた。だがロシアもソ連もそれ(4島)に一度も同意したことはない。
  • 平和条約に関しては非常に多くの微妙な問題があり、ロシア側は交渉の前段階で、安全保障を含むさまざまな質問を投げ掛けてきた。
  • 日本の同盟国が日本の領土にミサイル配備を計画し、ロシアを脅かす恐れがある中、この(領土)問題をどう解決できるのか。残念ながら、日本から明確な回答は受け取っていない。
  • 対立はしていても米ロには一致する利害がある。(バイデン米大統領と)建設的な会談を望んでいるが、大きな進展は期待しない。(モスクワ共同)

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