4月上旬の午前0時ごろ、天の川が夏の星座を伴い、納沙布岬の東の空に昇ってきた。やがてアーチ状になり、「四島のかけ橋」の上に、星でできたもう1本の橋がかかった。「四島のかけ橋」は北方領土返還運動の祈りを込め、40年前に造られた。だが、元島民の願いは届かず、領土問題は一向に動かない。(北海道新聞釧路根室版2021/4/27)
アニメ映画「ジョバンニの島」は終戦直後、色丹島の一家が旧ソ連軍侵攻に翻弄される物語。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」をモチーフにし、美しい星空が印象的だ。主人公のモデル、得能宏さん(87)=根室市=は「電気もなかったので、色丹島の星はきれいだった。人は亡くなると星になると思っていたよ」と話す。
終戦時1万7千人余りいた四島の元島民は3分の1以下に減った。「『頼むぞ』と先に逝った人たちの思いを僕らが引き継いでいる」と得能さん。まばゆい光を放つ星のかけ橋は四島からも同じように見えるはずだ。(黒田理)
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