北方領土を事実上管轄するロシア・サハリン州政府は26日、サハリン島と北方四島を結ぶ航路に投入する新造船「アドミラル・ネベリスコイ」をサハリン南部のコルサコフ港で報道陣に公開した。貨物や自動車も運ぶ砕氷型の貨客船で6月に就航する。同航路は現在1隻で運航しており、8月には2隻目の新造船も就航する予定。3隻体制で輸送能力も3倍になる見通しだ。【コルサコフ仁科裕章】
「アドミラル」は全長75メートル、総トン数3061トン。乗客定員146人でスイートなどの個室やランドリーを備え、20フィートコンテナを24個、乗用車を6台積載できる。
サハリン島と北方領土を結ぶ航路はコルサコフから国後島の古釜布(ユジノクリーリスク)、色丹島の斜古丹(マロクリーリスコエ)、択捉島の内岡(キトブイ)を巡回。現在は1990年代に造られた貨客船1隻で運航している。
州政府は輸送力を増強するため、2020年にロシア西部サンクトペテルブルクの造船所で「アドミラル」と同型船「パベル・レオーノフ」の2隻を建造。建造費は合わせて47億ルーブル(約67億6千万円)で、先に「アドミラル」が26日、造船所からコルサコフに到着した。「パベル」も近く造船所を出航する。
リマレンコ州知事は報道陣に「天候にあまり左右されず、多くの商品や食料をクリール諸島(北方領土と千島列島)に輸送できる」と述べた。州政府は2隻をクルーズ船として利用する観光ツアーも企画している。
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