サハリン州の活ウニ漁業が存亡の機に直面している。サハリン漁業者協会会長コズロフによると、ロシアFSB国境警備局が改正された規則の運用により、これまでのウニ漁業のあり方を違法と見なしていること、また、ロシア政府が水産物の輸出手続きの改正を行い、天然資源監督局等に対し手続き申請が義務付けられたことで、出荷までに多くの時間を要し、活製品の鮮度保持が出来ないことに加え、新型コロナウイルス拡散防止対策(以下CV19)で市場が冷え込んでいる等、当該漁業が危機的状況にあると語った。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2020/12/5)
ロシア漁業庁は、操業許可発給にあたり、2010年5月12日付命令№.444”ダイヴィング機器を使用した沿岸漁業活動におけるウニ採捕方法の承認”を根拠にしてきた。この書類手続きは、ダイヴァーが乗船する本船と補助船が含まれ、本船の許可証に補助船の要目が記載されていた。
しかし、2019年に発効した漁業規則では、当該命令が沿岸漁業のみを対象とする一方で、この中にウニ漁業の特殊性を含める枠組みがないことから、補助船の操業を認める根拠が欠落することとなった。この点についてロシアFSB国境警備庁は、違反指摘を開始、いくつかの行政訴訟が開始されており、出漁を見合わせる漁業者がでてきた。
また、今年2020年6月、ロシア政府が水産物の輸出手続きの改正を行い、天然資源監督局に対し手続き申請が義務付けられたことで、実態にそぐわない問題が多々発生、活ウニ輸出はこの支障により、経済的な損失を受けている。
同改正において漁獲数量が直前まで確定できない活製品の取扱いが考慮されていないことが分かった。従前は、相当期間の数量を事前に提出し、実際の数量を、その内数として差っ引きする方式がとられていた。
コズロフは、CV19で、さまざまな支援に関する話題はあるが、それは実現されておらず、善意の漁業者が法改正の人質になっていると語り、関係省庁に引き続き働きかけを行い、解決を求めていくと加えた。
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