北海道と千島連盟が主催する航空機による北海道本島側からの「北方領土上空慰霊」に参加しました。第一便は元島民や後継者、家族など17人、鈴木知事はじめ来賓、代表取材のメディア、事務局など13人の合わせて30人。
北海道エアシステムのATR製ターボプロップ機ATR42-600型機(48席)を使用、中標津空港を10月21日午前10時45分に離陸しました。知床半島から根室半島にかけての本道側海岸線を約1時間飛行し、この間3度黙とうを捧げました。
上空から北方四島を見る機会はなかなかありません。過去に何度か千歳空港から中標津空港に降りた時に、一瞬国後島の島影を見たくらいのものです。今回はじっくりと眺めることが出来ました。残念ながら国後島の北半分から択捉島にかけては、雲が低く垂れこめて確認することはできませんでした。
雲を突き抜けて顔をのぞかせてくれた北方領土最高峰の国後島・爺爺岳
うっすらと雪化粧していました
国後島の南半分には大きな湖が3つあります。まず目に飛び込んできたのはニキショロ湖です。ここにはロシア軍が駐屯しており、ここしばらくは日本人の立ち入りが認められていません。湖の奥に古釜布の街が望めます。背後に羅臼山がそびえ、根室海峡側の山麓にメンデレーエフ空港がはっきり確認できました。
二キショロ湖。奥右手に古釜布の街が見える
右側の白っぽいラインがメンデレーエフ空港
続いて現れたのは東沸湖です。ここは何度か北方墓参で訪ねたことがうります。1931年(昭和6年)8月に、太平洋横断飛行で根室港を目指していたリンドバーグ夫妻が不時着水した湖です。戦前はヒメアジ漁が行われていました。
大きな東沸湖
3つ目は一菱内湖。少し前に「ゴロブニノ火山(泊山)のカルデラにあるゴリャチエ湖(一菱内湖)で、許容レベルの6倍にあたる塩化水素が計測された」というニュースが向こうのメディアで流れました。一菱内湖は沸騰する湖とも呼ばれ、高温の温泉やガスが噴出しているそうですが、行ってみたい場所の一つです。
沸騰する湖・一菱内湖(いちびしないこ)
国後島に別れを告げて、チャーター機は納沙布を目指します。国後島の南と北海道本島側から延びる野付半島が見えてきます。国後島までの距離でいえば、ここが最も近くて16kmしかありません。
眼下に根室の温根沼大橋がくっきり見えます。納沙布方面は雲がかかっていました。元島民の中には歯舞群島のうち、水晶、志発、勇留、秋勇留が見えたという方もいましたが、私が確認できたのは水晶島だけでした。
温根沼大橋(中央)
北方墓参、自由訪問、北方四島ビザなし交流の枠組みで行われてきたビザなし渡航は、今年すべての事業が新型コロナの影響で中止となりました。何もなしに、何もできずに、1年が終わるのかと思っていたところに、今回の上空慰霊。島々で亡くなった方々の慰霊はもちろんですが、ふるさとを上空から眺めるめったにない機会となりました。来年は島に上陸して、お墓参りや居住地跡の散策、四島在住ロシア人との交流が出来るようになることを願っています。
飛行ルートと3つの湖の位置
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