❐北方四島の話題
日本経済新聞 2019/8/6
●ロシアが実効支配する北方領土の4島に眠る日本人約4700人のうち、約49%の約2300人について埋葬されている正確な場所が分かっていないことが6日までに、元島民団体の千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)や北海道への取材で分かった。
●千島連盟が昨年度までに作成した国への報告書によると、島には52カ所の墓地があるとされるが、うち30カ所については墓石が見つからないなどの理由で位置が未確認のままになっている。
●千島連盟は墓地の正確な位置や現状を知るため、専門家による現地調査の実施や、ロシア側に情報提供を依頼するよう国に要望している。
●元島民らによる島への墓参は、旅券(パスポート)やロシアの査証(ビザ)を持たずに島を訪れる「ビザなし訪問」の枠組みで実施した。正確な位置が分かっていない場合は、元島民の記憶を頼りにだいたいの場所を「墓地」として墓参を実施しているため、祖先が眠る墓の場所を把握できていない遺族も多い。
●千島連盟は1997~99年度に、4島にある墓地の所在地を集中的に調査した。その後もビザなし訪問の際に正確な場所の把握に努めてきた。元島民の証言を頼りに現地を訪れても、墓地がロシアの軍事施設などに変わり立ち入れない場所もあったという。墓石の中には土に埋まったり、建材として使われたりしたものがあるとされる。
●北方領土の歴史を研究する北海道博物館の右代啓視さん(60)は7月、択捉島の墓参に同行した。元島民の高齢化が進み、島に関する記憶のある人が減っていることを懸念し「4島にある日本人の歴史や文化を保護するため、専門家による調査を早急にする必要がある」と話した。〔共同〕
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