❐北方四島の話題
サハリン・インフォ2019/2/16
●…「誰が南クリルの島々を所有しているか、こんな不要な交渉をすべて止めるために私たちの声が役立つのであれば、それは私たちにとってもうれしいことだ。この島々はロシアの領土だ」—。択捉島オーリャ湾のふ化場で働くナタリア・レメゾフスカヤさんは言った。
●…全ロシア世論調査センターが南クリル諸島の住民を対象に、日本との領土問題に関する世論調査を実施、来週にも調査結果を公表する。南クリル諸島はどこの国に属するのか、実際に島々に暮らす住民の意識を明らかにするために調査は始まった。マイナス10度以下になる外気温、強い風が吹き付け、集落が離れている島での調査は容易ではない。しかし、住民は積極的に調査に協力している。
●…現在南クリル諸島には約18,000人が住んでいる。最も人口が多い南クリル地区の国後島、色丹島には11,500人が暮らし、クリル地区の行政府が置かれている択捉島には約6,500人のロシア人がいる。
●…調査は島々に住む約12,000人の大人を対象に匿名で行われている。質問は「南クリル諸島に対する日本の主張を知っているか」「ロシアは日本に島々を引き渡すべきか」の2つ。スタッフが企業や家庭を訪問して直接インタビューするほか、人通りが多い街の商店街にテントを張り、訪れた人々に質問するなどして実施している。
●…世論調査センターの調査員エレーナ・ミルノワさんは「一部の住民から、世論調査自体に不満の声が上がった」と語る。ロシアの領土であることはまったく疑いの余地がないにもかかわらず、何故わざわざ住民の意見を聞く必要があるのか—。
●…「北方領土など存在しない。そこにはロシアの東に位置する島々があるだけだ。私たちは長い時間をかけて水産加工の基盤を築き、すべて自分たちの手で創り上げてきた。何も譲るつもりはない」—ウラジミール・ボチャルニコフさんは、調査員の質問に答えた。彼は択捉島最大の水産加工会社を率いている。第二次大戦後、ロシアは島のインフラを開発するために多大な努力と資金を投入した。質問への回答の中で、住民たちは彼らの家族や親戚が、いかに企業や住宅、学校、幼稚園の建設にかかわったかを語った。
●…ディーゼル発電所で働くコンスタンチン・デメンコさんは「私はクリルで生まれた。この島が私の家族だ。もちろん、暮らす上で問題はある。しかし、年々状況は良くなってきている。ここに暮らす素晴らしい人々と一緒に問題を解決しようとしている。島は私たちのもの。他の選択肢はあり得ない」と語った。
●…セルゲイ・カドゥーリンさんは1980年代初めからクリリスク(紗那)郊外のゴリャチエ・クリュチ(瀬石温泉)に住んでいる。安倍首相になってからロ日の交渉が頻繁に行われるようになった。ロシア人は、日本が平和条約の締結と4つの島の引き渡しを結び付けていることに憤りを感じている。「私は隠居の身だが、人生の素晴らしい時代は常にクリルと結びついている。2人の子供と2人の孫がいる。父親は日本との戦争に参加した。私にとって領土問題は存在しない。ここはロシアだ」と強調した。
●…セルゲイさんは何度かビザなし交流で日本へ行ったことがある。「旅行中、日本人が何を考えているのか知ろうとした。日本は素晴らしく、美しい国だが、このことを言わなければならない。多くの日本人は島々を必要としていないし、領土問題についても知らない。政治によって騒音が引き起こされている」—。
写真は国営放送ロシア1より
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