今では信じられないかもしれないが、13年前の択捉島にはアスファルト道路は存在しなかった。この島で生まれた住民や2000年代の初めに島に移住してきた人は、通り過ぎる車が道路上に巻き上げる砂埃の柱と、強いクリル風をよく覚えている。
クリルの道路はさまざまな時代の多くのことを知っている。泥だらけの季節にレイドヴォ(わずか15キロ先の別飛)まで行くことは、偉業とまでは言わないが、決っして快適な道行ではなかった。ましてやゴリャチエ・クリュチ(瀬石温泉)への道路については、何も言うことはない。当時、ルイバキ(有萌)の少し先で文明は終わっていた…
2011年に最初のアスファルトが択捉島に現れて、すべてが変わり始めた。それは、キトヴイ(内岡)に向ってストロイテリナヤ通りから中学校まで走っていた。
アスファルト道路の建設は続き、いま、島の道路網は数十キロメートルに及ぶ高品質の舗装道路で覆われている。建設や再建が止まった年はない。今年だけでも、島にはさらに9キロメートルの高速道路ができた。
そのほとんどは、クリリスク(紗那)–ブレヴェストク(天寧)空港道路再建プロジェクトの一環として行われた。クリリスクから13キロメートルに到達し、10月21日には道路施設の受け入れのための診断作業が開始される。
今年は、オーリャ湾(オーヨ)への道路の再建が橋の建設で完了する。これに合わせて、湾内に浮かぶ小型船の所有者が海に降りることが出来るようになる。レイドヴォ村では、ウドブナヤ川(別名ポグラニチヌイ川)に架かる橋が今年完成する。それだけではない。昨年、待望のレスナヤ通り、ストゥデンチェスカヤ通り、ユビレイナヤ通りの再建工事が始まり、今年も継続された。このプロジェクトは、ヤンキト高原への道路建設と同様に、来年完成する。
択捉島の道路作業員には常に仕事がある。そして、建設計画はたくさんある。最も重要なことは、州当局が建設資金を準備していることだ。
「私たちは、サハリンとクリル諸島(※北方四島を含む千島列島)の道路をより良くするために、できる限りのことを行っています。現在、多くの地域で道路網が修復され、新しい道路が建設されています。これらの工事の計画は、今後5年間予定されています。最も重要なことは、ペースを落とさず、道路工事の品質を注意深く監視することです」と、リマレンコ知事は繰り返し述べている。
択捉島の道路建設は、ロシア大統領の主導で実施されている国家プロジェクト「安全で高品質な道路」の枠組みで行われていることを付け加えておく。(択捉島の地元紙「赤い灯台」2024/10/20)