今日、連邦政府のクリル諸島(北方領土を含む千島列島)社会経済発展プログラムの支援を受けて、パラムシル島セベロクリリスクは発展している。
北千島セベロクリリスクへは、カムチャッカからヘリコプターで2時間、船だと一晩かかる。パラムシル島は海によって本土から切り離されている。しかし、その生活は 1 日も止まることはなく、観光客は好奇心いっぱいで、ここにやって来る。

町から7キロ、そこには火山がある
セベロクリリスクは、クリル諸島の最北端にある唯一の集落。パラムシル島はサハリン州の一部だが、カムチャッカ地方から Mi-8 ヘリコプターに乗って 2 時間で着く。(※サハリンからの飛行機、客船はない)
かつて、ここの交通網は十分に整備されていなかった。ヘリコプターはほとんど飛ばず、天候に左右されることが多かった。強風や霧のときには飛行は不可能だった。
現在、ヘリコプターは「予定通り」に運航しており、セベロクリリスクの住民は落ち着いている。必要ならいつでも本土に飛べるということを知っているからだ。貨客船も天候次第、嵐の場合は欠航となる。しかし、全体としては、物流は数年前よりはるかに良くなっている。
さらに、セベロクリリスクに小型機が離発着ができる滑走路が建設された。その目的は島との航空交通を強化することだが、大型航空機が着陸できるようにするには、滑走路をもっと延長する必要がある。

かつては、この島の問題はモバイル通信の弱さだったが、今ではこの問題は解決され、北クリル諸島の住民はもはや本土から切り離されているとは感じていない。
島の中心地セベロクリリスクの住民は、2016年に開始された連邦プログラム「クリル諸島社会経済発展プログラム(2016-2025)」のおかげで、多くのプロセスが改善され始めていることを知っている。プログラムの目標は、クリル諸島の経済、インフラ、社会圏の包括的な発展を確保し、島での生活の快適さを向上させ、人々に近代的なインフラ、住宅、仕事を提供することだ。
「千島列島はロシアの領土でなければならない」
セベロクリリスクの人口は2,400人。「ここは小さな自治区だが、その重要性は地政学によって強調されています。クリル諸島はロシアの領土でなければなりません。そして、国は私たちの地域の発展の方向性を定めました」とアレクサンドル・オブシャニコフ市長は言う。

現在、市は住宅の新築と改修のために多くの作業を行っている。何十年もここに建っていた古い住宅の代わりに、近代的な住宅が建てられている。工事は「オケアンストロイ」社によって行われている。地震や土石流などの自然災害の可能性があるため、ここでは高層ビルを建てることはできない。市内には5階建ての建物が1棟あるだけで、建物の大半は2階建てか3階建てである。
自然現象を考慮した新しい住宅の建設も行われている。雪が多く長い冬の影響で、工事には困難が伴うが、立ち止まることなく進んでおり、セベロクリリスクの住民は新居の新築を心待ちにしている。土石流から守るため、新しい住宅の隣には特別な防壁も建設されている。
プールがある幼稚園、280人が学ぶ中学校、病院を建設
セベロクリリスクでは、人口を増やすめた、新しい住宅の建設と社会施設の開発を進めている。ここでは新しい人材が歓迎され、専門家には住宅が無料で提供されている。たとえば、学校、幼稚園、新しいスポーツ施設の従業員は、このプログラムで島にやって来る。そしてもちろん、パラムシル島では魚加工生産の労働者が求められている。島の主な雇用であり、アライド水産加工場が稼働している。

市の社会インフラは特筆に値する。スポーツとフィットネス複合施設は、住民が誇りに感じている新しい施設だ。フィットネスジムやプールを備えたモダンな建物である。2018年に建てられた幼稚園にはプールがある。地元住民が言うように、セベロクリリスクにプールは欠かせない。クリル諸島の海では夏でも水が冷たくて泳げないからだ。
近代的な幼稚園があることは、島に働きに来る人々にとって重要なポイントになっている。現在、115人の園児たちがここで育てられている。また、新しい学校も建設中だ。280人の児童・生徒のために設計された巨大な教育施設になる。セベロクリリスクの中学校長イリーナ・コロコルツェワさんは「教職員も非常に優秀で、学校には必要な設備がすべて整っており、専門的な特別クラスもある。子どもたちは質の高い教育を受けており、卒業生はロシアの高等教育機関のトップ100に数えられる国内最高の大学に入学している」と言う。しかし今のところ、学校にはスペースが足りず、子どもたちは2部制で勉強している。
セベロクリリスクの市立病院は、必要な専門医がすべて揃っており、困難なケースでは患者はカムチャッカ地方に送られる。しかし、病院の建物はすでに時代遅れで、この医療機関は現在建設中の新しい近代的な建物の稼働を待っている。
夏には、人口の何倍もの観光客が訪れる
クリル諸島は観光開発に非常に力を入れてる。オブシャニコフ市長は「夏には、島は7,000人の観光客を受け入れている。観光部門の発展はパラムシル島にとって重要であり、それは市の社会的発展、インフラ、そして新しい雇用の創出にも弾みをつける」と語る。
例えば、セベロクリリスクの観光の魅力を高め、地元住民を喜ばせる重要なものの1つは、市の堤防である。「私たちは『ロシアの小都市』コンペで1億ルーブルの助成金を獲得し、さらにサハリン州の予算から1億3,300万ルーブルの支給を受けて整備した」とオブシャニコフ市長は語る。今後はバーベキューやフォトゾーンのあるレクリエーションエリア、カフェ、円形ホール、歩行者用遊歩道が設けられ、街は散歩やリラクゼーションに最適な場所を手に入れることになる。
近代的なホテル「エベコ」も建設中だ。観光客の宿泊施設の需要増に対応するためだ。このホテルは127人を収容できる設計で、会議室、レストラン、スパ施設も備えている。「エベコ」は早ければ2025年に最初の宿泊客を迎える予定だ。

パラムシル島の観光の魅力は、冬にはスノーモービルに乗ったり、地元の火山エベコ(絶えず灰を噴出している)の活動を観察したりできる。夏にはパラムシル島にとどまらず、隣のアトラソフ島のアライド火山や、大祖国戦争の記憶に残る戦いの地として有名なシュムシュ島に行くこともできる。
クリル諸島の自然は、その美しさとユニークさが魅力であり、地元当局は、企業と協力して、近い将来に観光インフラを強化することを計画している。新しい宿泊施設と新しい観光ルートが間もなくここに登場する。(ノーボエ・ベドモスチ2024/4/23)
