モスクワで北方四島・千島列島投資デー開催 7月にビジネスミッション実施

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 極東北極開発公社(FEDC)とサハリン州政府は4月18日、モスクワでクリル諸島(北方四島を含む千島列島)投資家デーを開催し、政府関係者、企業代表、専門家が一堂に会し、クリル諸島への投資機会、政府の支援策、観光、養殖、技術開発プロジェクトの展望について議論した。同公社とサハリン州は今年7月初旬にクリル諸島へのビジネスミッションを組織し、プロジェクトの投資対象地を視察してもらう予定だ。
 サハリン州のリマレンコ知事は「クリル諸島は、大きな経済的可能性を秘めた比類のない地域です。豊富な生物資源と美しい自然に加え、最も急速に発展している市場であるアジア太平洋諸国との協力のための便利な物流網も備えています。島々には、投資家にとってプロジェクトを経済的に有利なものにし、地域の発展に新たな弾みを与える優遇措置があります。このため、私たちはビジネスにとって最も快適な環境を整えています。サハリン州は、2年連続で国家投資魅力度ランキングで4位にランクインしています。皆さん、クリル諸島へようこそ」と挨拶した。
 知事はまた、クリル諸島には2つの空港とヘリポートがあり、本土との交通網も整備されていることを強調した。「2024年には5万6千人の観光客が島々を訪れたと予想されています。私たちの任務は、ホテルやクルーズ船の航路開発を通じて、この指標の向上に向けた条件を整えることです」と述べた。
サハリン州政府のアントン・ザイツェフ副首相は、クリル諸島の潜在力について「クリル諸島は北極海輸送回廊に近接しています。専門家の推計によると、2030年までに貨物取扱量は1億トンを超えると見込まれています。これは、ITサービスを含む新たなサービスの発展を必然的に促すでしょう。観光はクリル諸島にとって特に有望な産業です。観光客数は毎年8%以上増加しており、島への関心は高まるばかりです。ここ数年、ホテルインフラ整備のためのプロジェクトを10件実施しましたが、宿泊施設は不足しています。ホテル複合施設の建設に企業の皆様にご参加いただきたいと考えています。州政府は7件の投資提案を作成済みです」と説明した。
 サハリン・クリル諸島極東開発庁のマリア・グリシンコワ長官は、クリル諸島におけるビジネスにとっての特別な条件について説明した。「ここには2つの優遇措置があります。よく知られている先進開発地域(TOR)では、利益税、財産税、社会保険料の減税に加え、土地の簡易提供が受けられます。プロジェクト開始後は、土地を登記簿価格の2.5%で購入できます。さらに、クリル諸島には特別な優遇措置『KORF(ロシア連邦クリル諸島)』があり、法人を設立して島で事業を展開するだけで、20年間の税制優遇、行政・マーケティング支援が一括で受けられます。既に44社がこの優遇措置を利用しており、その数は今後さらに増える見込みです。KORFはIT分野のプロジェクトにとって魅力的な制度です。島々は高品質の高速インターネットを備え、アジア太平洋諸国と同じタイムゾーンに位置し、KORF制度は他に類を見ない独自の支援策を提供しています」と述べている。
 クリル諸島投資家デーに参加した、既にクリル諸島で事業を展開している企業の代表者は、プロジェクト立ち上げの経験について語った。「Vasta Discovery」社は、北クリル諸島で観光プロジェクトを実施しており、近代的なホテル複合施設の建設とクルーズラインの開発を進めている。また、「GreenFlow」社は、択捉島に開業準備中の新しいホテルについて発表した。「Youth on the Edge of the Earth」社は、択捉島沿岸での海上グランピングのコンセプトを発表した。
 クリル投資家デーの参加者機関企業は以下の通り。ロシア連邦経済発展省、ロシア連邦デジタル開発省、ロシア連邦経済発展銀行(VEB.RF)、ズベル社、中小企業公社、ロスアトム、コスモス・ホテル・グループ、クロンウェル・ホテルズ&リゾーツ、アライアンス・ホテル・マネジメント、ツアーオペレーターのFUN&SUNなど。(極東北極開発公社news2025/4/18)

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